相続にはたくさんの手続きが必要になります。事前に準備をしようと思っても、年金、保険、ガス電気、水道、クレジットカード……と、どれから調べればいいのか混乱してしまいます。

そんななか、相続専門の税理士・橘慶太さんが監修を務めた書籍『決してもめない! 手続きが2時間でわかる! 円満相続のコツ 見るだけノート』は、温かみのあるイラストが豊富で、わかりやすいと評判です。今回は特別にイラストを含め、万が一のときに知っておきたい死後の手続きを紹介します。(全3回の3回目)

●第2回:「失敗しない死後の手続き」故人の免許証はどうするのが正解? 自動的に失効を待つのがベストとはいえないワケ

※本稿は、橘慶太(監修)『決してもめない! 手続きが2時間でわかる! 円満相続のコツ 見るだけノート』(宝島社)の一部を抜粋・再編集したものです。

クレジットカードの解約手続きを行う

故人が遺した権利の多くは名義(契約者)変更が可能です。しかし、クレジットカードは例外。権利が特定の個人に帰属するので、契約者を変えることはできません。解約手続きが必須です。やり方は各クレジットカードで異なるため、発行会社に連絡して個別に対応することになります。手続きが電話で完結することはまずなく、必要書類を後送することになるので、事前に故人の情報を把握しておきましょう。

必要な書類も発行会社によって異なります。契約者の死亡の事実が確認できる書類(戸籍謄本、住民票の除票、死亡診断書のコピーなど)はマスト。あとはガイダンスに従い、退会届をはじめとした所定の書類をそろえたら発行会社に送りましょう。故人が使ったクレジットカードの未払い分も、相続人に支払い義務があります。光熱費同様、これも相続税の計算の際は相続債務として控除の対象になります。

 

故人のスマホはすぐには解約しない

故人のスマホも、キャリア(通信事業者)に通知しなければ契約は続きます。つまり利用料金がかかり続けるので、早めに解約したいところです。ただ、各種のログイン情報や連絡先など、スマホはあらゆる個人情報の宝庫。相続手続きを進めるなかで、故人について知らなければならないことが次々と出てくる状況で、これを失うのはリスクの高い行為です。解約は少しだけ待ちましょう。

 

どのキャリアも、名義変更して家族が使い続けることも可能です。一方、相続手続きが一段落して解約したいとなったとき、ドコモ、au、ソフトバンクの3大キャリアはショップでの手続きが原則。その際、解約できるのは故人の家族や代理人のみです。また、データのバックアップをとっておくと安心でしょう。ちなみに、死亡による解約は違約金・解約金がかかりません。