整理解雇、希望退職、早期退職…どう違う?

ところで、ニュースなどでは単純に「人員削減」という言葉が用いられますが、人員削減にもさまざまな種類があります。

「整理解雇」は、企業経営が悪化している時に人件費を削減するために行われるものですが、解雇の原因が社員ではなく企業側にあるため、それを行える要件が厳しくなります。具体的には「役員報酬の減額」、「賞与の不支給」、「希望退職者の募集」を行ったうえで、それでも経営が厳しいという場合にのみ、整理解雇が認められます。

「希望退職」は、企業が一定の期間や範囲を定めて退職希望者を募り、その期間内に退職希望を出した社員に対して、割増退職金や有休休暇の買取、再就職の斡旋といった優遇措置を取ります。一般的に「早期希望退職」という言い方をするケースもありますが、厳密には早期退職と希望退職は異なります。

希望退職はリストラ策の一環で、企業の経営が厳しい時などに行われますが、早期退職は希望退職と同じく、手を挙げた社員に対して優遇措置を講じるものの、その目的は、組織の若返りやキャリア支援など福利厚生的な意味合いがあります。

「退職勧奨」は、企業側から社員に退職を推奨し、双方が合意したうえで退職してもらうというものです。希望退職とどう違うのかという点ですが、希望退職は退職を希望する人たちが自ら手を挙げるのを待っているのに対し、退職勧奨は企業が特定の社員に退職を勧めます。一般的には職務怠慢や問題行為がある社員に対して、無用のトラブルが生じるのを回避しつつ、円満に退社してもらいたい時に行われます。

「派遣社員の削減」は文字通り、契約期間が満了した時点で更新をせず、人員を削減するというものです。

この4つが人員削減の主だったものです。

また人員削減というと、「レイオフ」という言葉を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。レイオフとは、イギリスやアメリカにおいて、企業の業績悪化などを理由に行われる解雇のことですが、もともとは一時解雇を意味し、業績が回復したら再雇用することを条件にしていました。

しかし最近のレイオフは、再雇用条件なしの恒久的な解雇であるのが一般的になっており、一時解雇に関しては「テンポラリー・レイオフ」と称しているようです。総じて、再雇用条件のないレイオフが多くを占めているということです。