日本株はもはや「割安株」ではない。4万2000円までが現状の「適正水準」

――いよいよ本題に移りたいと思います。最近の日経平均株価4万円台は井出さんからご覧になって「本物」なのでしょうか。

はい。日本企業の実力を伴った水準だと考えています。

日本企業は2023年度に過去最高益を記録し、2024年度もさらに8%~10%の増益が見込まれています。これは日経平均株価を10%程度押し上げる効果があるとされ、現在の株価水準はすでにこれを織り込んでいる格好です。日本株は世界の中で長く「割安株」とされてきましたが、それを抜け出しています。

日経平均株価の適正水準はPER(株価収益率)の14倍~16倍で、そこから計算すると「ストライクゾーン」は3万7000円~4万2000円。現在はその「高め」をつけている状況です。「ボール(=割高、過熱)」にはなっていません。

――先ほど「第2弾」の話は出ましたが、そもそもこの日経平均株価4万円台をつけるに至った2024年からの「急騰」は、なぜ起きたのでしょうか? 少なくとも2023年後半、日経平均株価はジグザグを描いていました。

年明け以降の値動きは、以下の4点で説明できると思います。

1.日本企業の業績が2024年度以降も好調を持続する見通しとなった
2.中国の景気が減速し、そのマネーが日本株に向かった
3.中東のオイルマネーも日本株を買い出した
4.新NISA(少額投資非課税制度)の効果が出始めた

2月に日銀の内田真一副総裁が講演で「緩和的な環境は続く」という趣旨の発言をしましたね。これは日本人にとってはあまり驚きではありませんでしたが、中国の個人投資家が「ポジティブサプライズ」と受け止め、日本株買いに拍車がかかりました。

また、新NISAの1月、2月の買い付けの46%が日本の個別株だったというデータもあり※2、S&P500とかオールカントリー(全世界株式)といった海外株のインデックス・ファンドだけでなく、日本の個別株も買われたということでしょう。

先ほど申し上げたように、日本株はもう「割安」とは言えません。この先、一本調子で買いが続くとは考えづらく、従って一時的に日経平均株価が4万2000円とか4万3000円をつけても長続きしないと思います。

※2 編集部注:日本証券業協会「NISA口座の開設・利用状況(証券会社10社・2024年2月末時点)」より