SNSなどではよくデートにおける“割り勘論争”が行われていますが、一方で最近の若いカップルの間では「食事は割り勘」「結婚したら共稼ぎが当たり前」という考えが浸透しています。人生100年時代ともいわれている中では、老後の生活についても考える機会が多くなっているからです。

確かに、男性が結婚相手の学歴や職業にこだわっていた時代もありました。自分よりも学歴が高く収入が多い女性が避けられていた傾向もあります。でも、もはやそれは遠い昔の話。今は医師、弁護士、公認会計士などの資格を持っている女性や、大手企業に勤務している正社員の女性を希望する男性が多くなっています。

結婚相談所に入会する方も、以前とは変わってパートナーとの対等な関係を希望する人が多くなりました。そうした背景から、今回は共働き希望のカップルの参考となる事例を紹介していきます。

有紗さんが共働きを望む理由

筆者の経営する結婚相談所に、このようなカップルがいました。

男性は松井祐樹さん、45歳の大手会社員です。年収1200万円で性格も優しいタイプなので女性人気が高い方でした。彼自身収入は十分にありましたが、夫婦2人で老後も心配なく暮らしていくために共働きを希望していました。

そんな彼が選んだ女性が加藤有紗さん。38歳で年収400万円、安定した大手企業の会社員をしていて「結婚後も仕事を続けたい」という意欲がある方でした。

どうやら有紗さんの仕事への意欲は、趣味の美容やファッションに関係があるようです。月々どれくらいお金をかけているのかを聞いてみると、「美容代や洋服代に月10万くらい」とのこと。有紗さんは親の所有するマンションに住んでいたので、自分の楽しみに存分にお金をかけて楽しんでいるようでした。

そのため「美容や洋服や交際にお金をかけられない結婚生活は嫌! 自分の働いたお金で楽しむから、旦那さんには理解してもらいたい」という考えを持っていました。

祐樹さんからの提案

そんな有紗さんの価値観を理解して、祐樹さんは結婚時に“ある1つの提案“をすることにしました。

「それならWin-Winの生活を目指すのはどう?」

それは祐樹さんが有紗さんさんの持ちマンション(正確には親のですが)に住み、家賃が浮いた分で生活費を祐樹さんが多めに払うというもの。

結婚を機に新居購入も考えていましたが、当時祐樹さんは賃貸に住んでいたので、彼女の住んでいる親の持ちマンションに住んだ方が明らかにお得だと考えたのです。もちろん家具も有紗さんのものが既にそろっているので、一緒に生活を始めるにあたっての出費が抑えられます。

この提案を有紗さんも快諾し、結婚生活は一見、順調にスタートしたかのように見えました。