のれんを全額取り崩し 損失800億円で10期ぶり最終赤字
野村ホールディングスの海外部門は、リーマンからの承継で大きく拡大します。しかし収益は停滞し、利益面も経費が先行し赤字が常態化します。2011年3月期から6期連続で純損失となり、特に欧州地域はその全ての期で損失でした。2016年には欧州ビジネスの一部閉鎖を含む海外戦略の見直しを強いられます(出所:野村ホールディングス 欧州地域および米州地域におけるビジネス戦略について(外部リンク))。
野村ホールディングスは海外の赤字を日本で補てんする状況が続きます。しかし2019年3月期は連結でも最終赤字に陥りました。リーマン承継などで計上していたのれん810億円について、収益性を見直し全額の減損を認識したためです。グループ全体での赤字はリーマン・ショック以来10期ぶりでした。
海外地域は2020年3月期にはいったん黒字化したものの、翌期から3期連続で赤字となっています。利益の大半を日本で稼ぐ構造はしばらく続きそうです。
【地域別の業績(2023年3月期)】
日本 | 海外 | |
収益(金融費用控除後) | 8127億円 | 5228億円 |
純利益 | 1610億円 | -115億円 |
※収益は外部顧客取引、純利益は地域間の内部取引を含む
出所:野村ホールディングス 有価証券報告書(外部リンク)より著者作成