中期経営計画の最終年度 今期はどうなる?
住友林業は2022年から3ヵ年の中期経営計画を進めており、2024年12月期はその最終年度にあたります。
中期経営計画では財務目標として売上高1兆7700億円、経常利益1730億円、純利益1160億円を掲げました。2023年12月期決算で公表した2024年12月期の業績予想によると、売上高と経常利益は達成を見込んでいますが、純利益は目標に届かない見通しです。
【2024年12月期の業績予想】
中期経営計画 | 2023年12月期の 決算公表時 |
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売上高 | 1兆7700億円 | 2兆0650億円 |
経常利益 | 1730億円 | 1730億円 |
純利益 | 1160億円 | 1055億円 |
公表年月 | 2022年2月 | 2024年2月 |
出所:住友林業 決算説明会資料
2024年12月期の見通しについて、住友林業はどう見ているのでしょうか。
前期の減益要因となったアメリカの戸建住宅の販売単価は、2024年12月期も住宅ローン金利の高止まりから47.7万ドルと微減(前期:48.1万ドル)を見込んでいます。
なお販売戸数は増加を予想しています。受注は増加傾向にあり、2024年は前年を上回る想定です。
【2024年12月期に米国戸建住宅の見通し】
2023年12月期 | 2024年12月期 (予想) |
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販売戸数 | 10221戸 | 11785戸 |
販売金額 | 6913億円 | 7870億円 |
販売金額(ドルベース) | 49.18億ドル | 56.21億ドル |
販売単価 | 6760万円 | 6680万円 |
販売単価(ドルベース) | 48.1万ドル | 47.7万ドル |
出所:住友林業 決算説明会資料
こういった状況から、前期に苦戦した海外事業はアメリカを中心に回復を予想しています。
一方、国内の住宅事業は減益を見込んでいます。期初の受注残の減少が大きく、通期でも販売額は前期を下回ると予想しています。販売単価の上昇から増収を見込むも、コストの増加から利益は減少する見通しです。
【2024年12月期の予想セグメント経常利益】
2023年12月期 | 2024年12月期 (予想) |
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木材建材 | 112億円 | 140億円 |
住宅 | 328億円 | 315億円 |
建築・不動産(※) | 1125億円 | 1325億円 |
資源環境 | 6億円 | 15億円 |
その他 | 22億円 | 24億円 |
※海外住宅・建築・不動産セグメントは2024年12月期から建築・不動産へ名称を変更
出所:住友林業 決算説明会資料
なお、配当金は増額を予定しています。前期比5円増額し1株あたり年間配当金は130円とする計画です。
【配当金と配当性向の推移(2021年12月期~2024年12月期)】
住友林業は2030年までに経常利益2500億円を目指す長期ビジョンを掲げています。今期までの中期経営計画は、その第一段階という位置付けです(出所:住友林業 Mission TREEING 2030)。
今期の業績の見通しから、中期経営計画の経常利益目標(1730億円)には到達する見通しです。しかし利益の多くを占める海外事業は金利や為替の影響を比較的強く受けます。マーケットによっては目標の達成は難しくなるかもしれません。
住友林業は無事に目標を達成できるのでしょうか。市場の関心を集めそうです。