50代以降の新NISAの始め方

今回、紹介するレポートは、ニッセイ基礎研究所の基礎研レポートです。タイトルは「新NISA、50代などからの資産形成はどうするのか」です。

制度の恒久化、非課税期間の無期限化、生涯非課税枠1800万円ということで魅力が大いに高まった新NISAですが、50代、60代の人たちからすると、「今更始めても手遅れじゃないか」という思いから、何もせずにいるというケースもあるのではないでしょうか。

そういう方はぜひ、このレポートに目を通していただきたいと思います。1000万円を一括投資し、運用期間を5年、10年、15年にした場合、どのくらいのリターンになったのかが、過去のデータを用いてシミュレーションされています。過去のものとはいえ、実際の数字を用いているので、投資戦略を考えるうえで、エビデンスに基づいた検証ができます。

前提条件としては1000万円の一括投資です。言うまでもなく、50代、60代になると運用できる期間が短くなるので、毎月1万円、2万円という少額資金の積み立てで資産を増やすというのは、いささか現実的ではありません。そのため1000万円の一括投資で、運用期間を5年、10年、15年に設定したと考えられます。

仮に70歳まで運用するとして、今の年齢が65歳なら、運用期間は5年間です。過去のマーケットに照らして、5年間の運用期間でどの程度のリターンが実現したのかを、資産クラス別に見ると、おのずとどういう投資対象をポートフォリオに組み入れれば良いのかが分かります。

ちなみに資産クラスは国内債券型、外国債券型、国内株式型、全世界株式型、先進国株式型、米国株式型のそれぞれについて、インデックスを用いて計算されています。

またシミュレーションに際しては、1989年10月末から5年間、1989年11月末から5年間、1989年12月末から5年間というように、1カ月ずつずらして5年間運用した場合のリターンの最大値、平均値、最小値、さらに元本割れした割合を算出しています。サンプル数は351ケースで、直近5年間は2018年12月末から2023年12月末までのものになります。

元本割れの確率が最も高いのは?

過去5年間について見ると、元本割れの確率が最も高かったのが国内株式型の47%。最もリターンの悪い5年間で、1000万円の投資元本が472万円まで目減りしました。これは言うまでもなく、日本のバブルピークから、バブル崩壊の過程における5年間のリターンと考えられます。

恐らく、気になるのはリターンもさることながら、元本割れする確率でしょう。特に初めてNISAで運用する人にとっては、何よりも元本割れが怖いはずです。

運用期間別に見ていくと、5年間の元本割れ確率は高く、15年のそれは低いという傾向が明らかです。5年間の場合、元本割れ確率は国内債券型が7%、外国債券型が10%、国内株式型が47%、全世界株式型が25%、先進国株式型が23%、米国株式型が26%でしたが、運用期間を15年にすると、元本割れ確率は国内株式型が40%で、それ以外の資産クラスは0%になります。

国内株式型に関して言えば、バブル経済崩壊とその後の株価低迷期におけるリターンの低下が大きく影響しており、それが他の資産クラスに比べて元本割れ確率が高い理由と考えられます。