減益から回復続く キヤノンの「戦略的大転換」とは
直近のキヤノンは業績の変動が大きく、2016年度と2019年度~2020年度に大きな減益を経験しました。いずれも世界景気の減速による販売不振が主因で、個別要因として2016年度は円高(米ドルで121.1円→108.5円)が、2019年度~2020年度はコロナショックがありました。
足元では回復傾向が続いています。2022年度の純利益は2440億円と2020年度(833億円)比で約3倍に増加しました。2023年度は2920億円を予想しており、実現すれば直近10期で最高(2014年度:2546億円)を上回ります。
【純利益の推移(2015年度~2022年度)】
業績の回復に貢献するのが「戦略的大転換」です。キヤノンが進める成長戦略のことで、事業ポートフォリオをB to Bビジネス中心へ入れ替えることで成長を目指します。第一段階として2020年に事業セグメントを上述した4つ(プリンティング、イメージング、メディカル、インダストリアル)に再編しました。
第二段階と位置付けた中期経営計画(2021年度~2025年度)では各セグメントの競争力強化に取り組み、4兆5000億円以上の売り上げを目指します。これは過去最高(2007年度:4兆4813億円)を上回る数値です。
【中期経営計画の数値目標】
実績 (2022年度) |
目標値 (2025年度) |
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売上高 | 4兆0314億円 | 4兆5000億円以上 |
営業利益率 | 8.8% | 12%以上 |
純利益率 | 6.1% | 8%以上 |
株主資本比率 | 61.4% | 65%以上 |