「お金を増やすこと」 を人生の目的にしない

それでは、お金の心配はどちらでしょうか。

老後問題解決コンサルタントとして活動していると、セミナーでよく以下のような質問を受けます。

「退職金を増やす方法を教えてください」
「絶対に失敗しない投資の方法はありますか」
「老後の資金は何千万円あれば大丈夫ですか」

総じて、お金に関する悩みが多いようです。遺産相続や認知症、介護の悩みなども、お金の話とは無関係ではありません。

いわゆる「老後資金2000万円問題」が話題になってから、ますますその傾向に拍車がかかっているようです。

この問題のきっかけは、金融庁が報告書を発表したことがきっかけでした。この報告書によると、無職で年金だけで生活している高齢夫婦の毎月の赤字額を約5万円と見積もると、20年で約1300万円、30年で約2000万円足りなくなるわけです。

確かに計算上は間違いではありませんが、逆に毎月5万円稼げば(節約すれば)老後資金が不足することはありません。お金がないよりあったほうが安心なのは確かでしょう。資産家であれば悠々自適の老後生活を送れる可能性が高いのも事実です。

しかし、(私自身もふくめて)大多数の人が手元にある資産を運用するだけで左うちわで暮らしていけるわけではありません。

目前の損得に一喜一憂するのはやめましょう。お金を管理することは大切ですし、無理のない範囲で投資をするのも有益です。しかし、お金を増やすことを人生の目的にするのは味気ないものです。息を引きとるときに札束しか残らない人生が幸せでしょうか。

最も有益なお金の使いみちは、自分や自分の家族に投資することです。

あなたがまだ40代や50代なら、あなた自身の価値を高めるためにお金を使ってください。恋人や配偶者、子どもなど、大切な人がそばにいるなら、その人と一緒に過ごす時間のためにお金をつぎ込んでください。

自分への投資も、大切な人への投資も、いつか必ず「思い出の配当」となってあなたの手元に返ってきます。