S&P500配当貴族指数の代表銘柄5選

S&P500配当貴族指数の中には、50年以上連続増配している企業もあります。50年前とは、社会構造は大きく変化しています。しかしその間、配当の原資となる利益を増やし続けるために、企業には商品・サービス力の向上に加え、健全な財務体質の維持、変化に対応する経営姿勢の確立が不可欠です。

このように、時代の変化に対応する力を有する優良企業で構成されるS&P500配当貴族指数は、今後も長期的な優位性を保持する可能性が高いと期待されています。また、企業が配当貴族指数に採用されるには、財務面だけでなく、企業の社会的責任や環境面における取り組みなども考慮されます。したがって、配当貴族指数に採用された企業は、社会全体に貢献する企業としても評価される可能性が高いのです。

それでは、S&P500配当貴族指数に採用されている代表的な銘柄を紹介します。

■コカ・コーラ【KO】(連続増配60年)
コカ・コーラは、炭酸飲料のコカ・コーラを中心とした世界最大手の飲料メーカーです。バフェット銘柄の一つであり、投資家からも高い人気を集めています。会社の規模や業種柄、株価の安定性は非常に高く、下がり続けることも少ない銘柄として知られています。株価の大幅上昇が期待できるような高成長株ではないものの、安定性のある投資先として注目です。

■ジョンソン・エンド・ジョンソン(60年)
ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は日本でも「バンドエイド」や「ワンデーアキュビュー」などで知られ、60年間も安定して増配を続ける米国を代表する企業です。世界60か国カ国の約250社に分社化されており、リスクヘッジを万全に行っています。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは医薬品や日用品などを展開しており、コロナ禍でも安定した売り上げを記録しました。個別銘柄としても人気があり、2023年8月時点の米国時価総額ランキングでは12位にランクインしています。「安定感」と「将来性」を兼ね備えた銘柄として、投資家の注目を集めています。

■プロクター・アンド・ギャンブル(60年)
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、世界中で愛される消費財メーカーです。おむつの「パンパース」や電気シェーバーの「ブラウン」、衣料用洗剤の「アリエール」など日本でもおなじみの商品を提供しており、コロナ禍や経済不況時でも必需品としての需要があるため、安定した業績をたたき出しました。半世紀以上もの長期間にわたり増配を続け、配当貴族銘柄の中でも特に安定性が高いとされます。

■スリーエム(60年)
スリーエム(3M)は、スコッチテープやポストイットなど、私たちに身近な商品の多くを生産している多角経営会社です。しかし、それだけにとどまらず、電子、通信、消費、ヘルスケア、オフィス関連など、多岐にわたる分野でビジネスを展開しています。
スリーエムは世界中で事業を拡大しており、景気変動の影響を受けにくい銘柄としても知られています。それだけでなく、長期的に安定した業績を維持しており、直近の配当利回りも6%を超えるなど、安定的にインカムゲインを求める投資家にはおすすめの銘柄です。

■ウォルマート(50年)
ウォルマートは、米国に本社を置く世界最大のスーパーマーケットチェーンです。アメリカをはじめ、南米、ヨーロッパ、アジアなど世界中に事業を展開しており、その圧倒的な競争力は「Everyday Low Price(毎日がお買い得)」をキーワードにした幅広い品ぞろえと低価格化によるものです。
コロナ禍においても、DIY用品や食品など幅広い巣ごもり需要を背景に、2020年度通期の売上高は過去最高を更新しました。今後もオンラインの販売と実店舗を融合させるオムニチャネル化を推進することで、アフターコロナ時代においても堅調な業績が期待できます。投資家にとっても、安定した配当を目的とした長期保有に適した銘柄といえるでしょう。

カッコ内は連続増配年数(2023年3月末時点)

配当貴族指数採用銘柄を購入する時の注意点

配当貴族に投資したい場合、まず考えられるのは、指数に含まれる銘柄の株を買うことです。S&P500配当貴族指数に採用されている銘柄の中から、興味のある銘柄を探すのもいいでしょう。

ただ、外国株式への投資には、為替リスクがあることに注意してください。これは、米ドルと円の価格変動が投資に影響を与えることを意味します。円安になると、値上がり益や配当額が増加する可能性はありますが、円高の場合は注意が必要です。円高になると、株価や配当金額が減少する恐れがあるからです。

また、海外高配当株の投資には、配当課税の問題があります。海外と日本で二重課税されることがあるからです。米国株の場合、アメリカで10%、日本で20.315%が配当に課税されます。しかし、「外国税額控除」によってアメリカで課税された分は確定申告によって取り戻すことが可能です。

執筆/山下耕太郎(フィナシー/Ma-Do 投資信託研究会)