欧州でさらなる成長が期待
ダイキン工業の空調事業は海外がけん引しています。特に欧州や米州、また中近東やオセアニアの成長率が顕著です。
【空調事業の地域別売上高の推移】
2015年3月期 | 2023年3月期 | 変化率 | |
日本 | 4134億円 | 5530億円 | +33.8% |
欧州 | 2271億円 | 6574億円 | +189.5% |
中国 | 3170億円 | 4301億円 | +35.7% |
米州 | 4407億円 | 1兆3346億円 | +202.8% |
アジア | 2105億円 | 4147億円 | +97.0% |
オセアニア | 436億円 | 1286億円 | +195.0% |
中近東 | 479億円 | 970億円 | +102.5% |
アフリカ | 106億円 | 143億円 | +34.9% |
計 | 1兆7109億円 | 3兆6298億円 | +112.1% |
出所:ダイキン工業 決算説明会資料
欧州は成熟市場というイメージがありますが、ダイキン工業にとっては今後の成長が期待できる地域の1つです。熱波がたびたび襲来しており、2019年7月にはフランス・パリで42.6度を、2021年8月にはイタリア・シチリアで48.8度を記録しました。エアコンの普及率が低い寒冷地においても高温を記録するケースが相次いでおり、需要増加が見込めます。
また暖房についても、化石燃料を使わないヒートポンプ暖房への需要が高まっています。欧州は燃焼暖房が主流で、その燃料としてロシア産エネルギーに頼っていました。しかしウクライナ危機が発生し、輸入が不透明な状況が続いています。事実、2022年1~7月のロシア産天然ガスの欧州向けパイプライン輸出はおよそ40年ぶりの低水準となりました(出所:米国エネルギー情報局 Russia’s natural gas pipeline exports to Europe decline to almost 40-year lows)。
需要を見越し、ダイキン工業は欧州でヒートポンプ事業の強化に臨みます。約200億円を投じてベルギーに開発拠点を設立するほか、約420億円でポーランドに工場を新設する計画を発表しました(出所:ダイキン工業 サステナビリティ説明会資料)。今後の成長はヨーロッパが中心となるかもしれません。