老後不安を抱える人も多い昨今。自由に使えるお金の多さだけが幸せとは言い切れませんが、お金がある分だけ人生の選択肢が増えていくのは紛れもない事実です。将来に対する不安と向き合うためにも、投資のリテラシーを学びながら資産設計する必要性は高まっているといえるでしょう。
話題の書籍『“こわい”がなくなる投資1年生の教科書』では、お金やキャリアに関する個人相談、ライフプラン等に関する企業研修に従事するファイナンシャルプランナー佐藤彰氏が、読者のレベルや志向にあわせてステップアップできる“マネトレ投資”について優しく解説。今回は本書の第1章「投資初心者はマネトレから始めるのが正解」の一部を特別に公開します。(全3回)
※本稿は、佐藤彰著『“こわい”がなくなる投資1年生の教科書』(自由国民社)の一部を再編集したものです。
初心者はいきなり投資を始めてはいけない
なぜ、投資初心者はいきなり投資を始めてはいけないのか、その理由を一言でいえば、投資に対するリテラシー不足が原因で、失敗する可能性が高いからです。
それはどういうことなのか、2つの観点から説明します。
あやしい金融商品に手を出してしまう可能性がある
投資はどんな金融商品に投資するかが重要です。ひとえに投資といってもその種類は多く、多種多様なのですが、知識や経験が不足している時点でいきなり投資を始めてしまうと、初心者には不向きな金融商品を選んでしまう可能性が高くなります。
最悪、詐欺まがいの投資に手を出してしまうおそれもあります。よくテレビなどで報道される話で、資金を出してある投資を始めたら、そもそも出したお金が投資さえされておらず、実際にはお金をだまし取られていたという話もときどき耳にします。そうなることも否定できません。
近年もジャパンライフ事件、かぼちゃの馬車事件、西山ファーム事件といった投資詐欺事件が大きく報道されましたが、こういった事件は後を絶ちません。
また、若者を狙ったFXや暗号資産の取引に関する投資詐欺も増えており、国民生活センターに寄せられたFXを名目にした投資のトラブルの相談件数も、右肩上がりで急増しているとのことです(2022年6月29日・日本経済新聞朝刊)。
投資の情報で目につきやすく、なおかつ、一見すると魅力的に見えやすい金融商品はこういった手のあやしい商品です。たいていこういう商品は、簡単にすぐに大きく儲かる一方でリスクが低い、というように宣伝されます。
しかし、投資の世界でリターンが高くリスクが低いということはあり得ません。リターンが高いということは、それ相応にリスクも高いということです。投資のリテラシーがあれば、そのことにすぐ気がつきますが、そうでなければ目についた宣伝にすぐ飛びついてしまう可能性もあります。