収益源は株? 投資で稼ぐ名物会長

コーエーテクモは本業も好調ですが、利益の多くを投資で稼ぐ企業としても有名です。投資有価証券の額は1000億円以上に上り、投資収益などが反映される営業外利益は2022年3月期までに2期連続で140億円を突破しました。

【経常利益の内訳と投資有価証券の推移】

コーエーテクモホールディングス 決算短信より著者作成

同社の運用を指揮しているのが襟川恵子(えりかわ・けいこ)代表取締役会長です。社長である陽一氏の妻で、夫の誕生日にマイクロコンピューター(マイコン)を贈りゲームクリエイターの道を後押ししたエピソードでも知られます。

恵子氏は18歳から株式投資を始めたベテランで、安定的に利益を獲得してきた手腕から“株の女王”と呼ばれています。コーエーテクモでの実績を見れば、その愛称にもうなずけるでしょう。2021年には投資会社として躍進するソフトバンクグループの社外取締役にも就任しました。

しかし2023年3月期は苦戦します。約41億円を投じていたクレディ・スイスの「AT1債」(※)が全損となり、通期の営業外利益は約7.7億円と前期(同141.7億円)から急減しました。利益を残したのはさすがですが、好調な本業をもってしても投資収益の剝落を埋められず、最終減益となっています。

※AT1債:普通債より弁済順位が劣り、その対価として高い金利が付される債券。クレディ・スイスが破綻した際、発行するAT1債が無価値化したことで話題を集めた。

【コーエーテクモの業績】

※2024年3月期(予想)は、2023年3月期時点における同社の予想

出所:コーエーテクモホールディングス 決算短信