「先進国」の中でも日本のGDPはダントツでビリ
――では、IMF ※3が「先進国」にカテゴライズしている国の名目・実質GDPの、1996年と比較した2021年の伸び率を見てみよう。まずは名目GDPから。
※3 「International Monetary Fund」の略。国際通貨基金。通貨と為替相場、国際金融システムの安定化を目的とした国際連合の専門機関。
太郎:日本は1.2%しか伸びてないから、これもまた、ダントツでビリだね。次に伸びてないイタリアですら69.8%。日本は文字どおり桁違いに伸びてない。
――次は実質GDPの伸び率を見てみよう。
太郎:一番伸びてないのがイタリア(10.5%)、次がプエルトリコ(13.2%)、その次が日本(13.6%)だから、名目よりはマシだけど、やっぱり全然ダメだね。
――そう。このように、賃金の低迷がGDPの低迷と名目・実質ともにほとんど同じであることが分かるだろう。
太郎:賃金が低迷していることはつまり、日本の経済が低迷していることを表しているわけだね。とても大きなモノを相手に考えないといけないんだな……。でも、なんで日本はこんなに低迷しているの?
――それを理解するには、少し歴史を遡って見てみる必要がある。具体的に言うと、バブル崩壊後の金融危機が大きく影響しているんだ。今度はそれを見てみよう。
●第2回(山一証券、長銀etc.金融機関が破綻する事態に…バブルはいかにして崩壊したのか)では、金融危機を背景に異常な値上がりを見せた“株と不動産”の価格推移について解説します。
『データで見る日本経済の現在地 働くときに知っておきたい「自分ごと」のお金の話』
明石順平 著
発行所 大和書房
定価 1,760円(税込)