物流問題をロボットが救う?
ロボットの活用が進むもう1つの場所が倉庫といった物流拠点です。国内の物流は、EC市場の進展に伴って宅配便の取り扱い個数が右肩上がりに増加してきました。逼迫する物流の現場を、ロボットたちが人間のパートナーとして支えています。
【宅配便取り扱い個数の推移】
例えばアマゾンの物流拠点では商品棚の下に潜り込み棚ごと商品を運ぶ「ドライブ」や、物を選別しアームで持ち上げて運搬する「スパロー」といったたくさんのロボットたちが活躍しています。物流システムで世界トップクラスの売り上げを誇るダイフクも、自動倉庫や無人搬送車といった多種多様なロボットを提供しており、国内外のさまざまな大企業に採用されています。
このように多くの企業が物流にロボットを採用していますが、今後はさらに導入が相次ぐかもしれません。「2024年問題」から、物流業界はさらに逼迫することが見込まれているためです。
物流業界の2024年問題とは、トラックドライバーの労働時間が制限されることに伴い、深刻な人出不足が想定されることをいいます。働き方改革の一環として、2024年4月からトラックドライバーといった自動車運転業務を行う人の時間外労働時間は、原則として月45時間、年間では360時間を超えてはならず、特別な事情がある場合でも年960時間を超えてはならないこととなりました。
トラックドライバーは単に走行して荷物を運ぶだけでなく、荷役作業を担うことがありますが、拠点に到着してもすぐに荷揚げや荷下ろしができるとは限りません。従って待機(荷待ち)が発生することになりますが、この時間が長く、トラックドライバーの労働時間が長くなりやすい原因の1つと指摘されています。
国内の物流においてはトラックによる運送が圧倒的に多く、その不足は物流業界にとって死活問題です。トラックドライバーの長時間労働を防ぐには荷待ち時間の緩和が効果的だとみられ、物流拠点で活躍するロボットたちはその担い手として期待されています。
【宅配便取り扱い個数の内訳(2021年度)】
・トラック:48.82億個
・航空等利用運送:0.71億個
出所:国土交通省 宅配便等取扱個数の調査及び集計方法(2021年度)