いざ、相続が発生したら…相続人にも証券口座が必須
私が相続コンサルタントとてお客様対応をする際に、夫・親は証券口座を持っているが、妻や子は証券口座を持っていないというケースを多くお見受けします。証券口座を持っている本人が亡くなると、たとえ遺族でも即現金化をすることはできません。
「移管」といって、被相続人の口座から相続人の口座へまずは株式銘柄(商品)を移動させないとならないのです。ここが、遺族にとっては“寝耳に水”なところで、たいていの方が慌てられます。
まず証券相続が発生した際に行うことは、「被相続人の証券会社に相続人も証券口座を開設すること」です。しかし、証券口座の開設には少々時間がかかります。ネット証券などでオンラインで開設できる場合はすぐに開設できる場合もありますが、実際の取引開始までには時間がかかるので各社で確認をしてください。郵送で開設の場合、10日から、なかには2週間ほどかかるケースもあります。
いずれにしてもポイントはできるだけ短期間での開設をすることです。なぜなら証券は生き物、日々刻々と価格変動がされています。「手続きしている間に価格が30%ダウンしてしまった」などということがあると、資産価値が下がってしまうので注意が必要なのです。できることならば、生前に被相続人と同じ会社で証券口座だけでも作っておいた方が得策でしょう。そうすればスムーズに移管ができます。
相続がきっかけで投資にトライするなら…NISA口座を優先!
相続人のなかには、相続をきっかけに投資を始める方もいらっしゃいます。
相続した証券を即現金化して使う必要がない場合は、相続した証券資産を軍資金に資産運用にチャレンジするのも1つの方法です。
その時、投資が初めての場合は『NISA口座』を開設するのをおすすめします。NISA口座は、通常なら運用益が分離課税で20.315%(復興特別所得税含む)も税金でとられるところ、非課税となるお得な口座です。
2024年1月からは、規定はありますが投資枠も1800万円と拡充されます(いわゆる「新NISA」です)。まだNISA口座をお持ちではない方はぜひ開設するとよいでしょう。しかし、NISA口座を開設する際に、各証券会社は税務署に確認作業をしなくてはならず、そちらにも1週間~2週間ほど時間がかかりますのでご注意ください。