「相続手続き」は、初めてのことだらけのうえ、複雑で面倒くさいものです。

そのなかでも「有価証券」の相続手続きでは特に多くの方が戸惑うもの。また、“戸惑いながら”だったからこそ、相続手続きが終わったあとに、後悔する方もいらっしゃるほどです。

近年、投資ブームや企業での確定拠出年金の増加に伴い、相続時に株式や投資信託をお持ちのケースが増えてきました。そこで、証券等の手続きについて解説をしたいと思います。

健在のうちに投資をしているか確認を

株式投資をしているか否か、家族でも知らないことが多くあります。まずは生前に株式投資をしているかどうかの確認――ここから始めてください。特に最近は、インターネットで取引をしている方が多く、亡くなるまで家族が知らない場合は手続きがより複雑になってきます。

また、当の本人に「投資をしている」という意識がなくても、自社株を保有していた……というケースもあります。

「お父さん(お母さん)、株式投資している?」と軽く聞いてみるところから始めましょう。さらに「預けている証券会社はどこ?」ということも忘れずに聞いていただきたいと思います。

その際、被相続人(財産を遺していく側)が真面目な場合、「株式投資をしているのがバレたらまずい」等と身構えてしまう方もいますので、“軽やか”に聞くこともポイントです。投資をしているか否かを尋ねる前に投資についてディスカッションをして心をほぐすとよいでしょう。相続人の方のなかには「相続対策の話はしづらくて……」という方も多いのですが、経験した方は「なんで聞かなかったのだろう」と後悔をしていますから、なんとか切り出してみてください。

なぜならば「相続手続き」と「相続対策」は似て非なるもの。相続対策をしておけば、スムーズに処理をできるだけでなく、相続人同士でモメたりすることも少なくなります。相続人は現役世代も多く、仕事や子育てで忙しいなか、相続手続きをするのはかなり面倒なことでしょう。事前にできることはなるべく済ませて準備するに越したことはありません。