GDP比2%の防衛費確保を目指す日本

自衛隊を巡っては、防衛費の拡大も話題です。岸田首相はGDP比で2%の防衛費を確保する方針を示しました。内閣府経済社会総合研究所によれば、2022年の名目GDPは556.4兆円です。これに照らせば約11.3兆円もの防衛費を用意することになり、国はその財源の確保を急いでいます。

そもそも、日本の防衛費はどれくらいなのでしょうか。防衛省は2022年度、防衛関係費の当初予算として5兆1788億円を計上しました(沖縄に関する特別行動委員会関係経費、米軍再編関係経費のうち地元負担軽減分、政府専用機導入経費、国土強靭化を除く)。2012年度までは減少傾向にありましたが、2022年度まで10年連続で増加しています。

【防衛関係費(当初予算)】

防衛省「防衛白書(令和4年版)」より著者作成

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さらに2023年度は「防衛力抜本的強化元年」と位置付け、当初予算として6兆6001億円を計上する案を示しました。成立すれば前年度から1兆4000億円以上も増える大幅な引き上げとなります。

なぜ日本は防衛費の引き上げを進めているのでしょうか。背景には他国との防衛力の差があります。

2021年度で、日本の国防費は530億ドル、GDP比では0.95%程度です。これは主要国と比較して低い水準で、近年ますます脅威が増している中国やロシアにも遠く及びません。

【国防費の各国比較(2021年度)】
・日本:530億ドル(GDP比0.95%)
・米国:7176億ドル(同3.12%)
・中国:3242億ドル(同1.20%)
・ロシア:1356億ドル(同2.73%)
・韓国:654億ドル(同2.57%)
・オーストラリア:304億ドル(同2.05%)
・英国:689億ドル(同1.99%)
・フランス:668億ドル(同1.92%)
・ドイツ:642億ドル(同1.31%)

出所:防衛省 防衛白書(令和4年版)

2022年は、2月にロシアがウクライナに侵攻したほか、10月には中国の習近平国家主席が台湾に対する武力行使を放棄しないと宣言しています。また北朝鮮においても兵器開発がやむ気配はなく、2023年に入っても断続的にミサイルを発射しました。これらの国の近くに位置する日本は、安全保障の重要性が増していると言わざるを得ません。岸田首相は防衛費を拡充させ、抑止力や防衛力の強化を目指す狙いがあります。