EVの現在地はどこなのかーー。温暖化対策を背景に、2020年10月に菅義偉首相(当時)は2050年までに日本のカーボンニュートラルを目指すことを宣言。それを機に国内自動車市場でも電気自動車(EV)熱が高まった。一方で、国内の自動車メーカーで構成される自動車工業会(自工会)は、EV一辺倒がカーボンニュートラルへの唯一の解決策ではないとする方針を示した。菅前首相の宣言から2年以上が経った今、目に見える変化はあったのか。国内外のEVの現在地を探る。
日本でもEVの販売台数は増加傾向に
まずは日本のEV市場を振り返る。日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)によると22年のEV(乗用車)の国内販売台数は5万8813台で、21年の2倍以上となり、乗用車全体に占める割合は1.7%で初めて1%を超えた。軽自動車の規格を超える大きさの自動車(登録車)の販売台数は3万1592台と前年比で1.5倍となった。軽自動車は、同49倍の2万7221台と一気に上昇した。
国内メーカーでは、22年6月に発売した日産の軽EV「サクラ」が22年暦年で2万1887台を販売し、軽自動車の車名別ランキングで15位に入った。同じく日産のEV「リーフ」は1万2732台を販売し、前年の販売台数を上回った。三菱自動車の軽EV「eKクロスEV」なども販売台数増を牽引した。
海外メーカー車(輸入車)もEVのラインナップを増やし販売台数を伸ばしている。輸入車の21年のEV販売台数は8610台に対して、22年は1万4341台で1.7倍増となった。全輸入車に占めるEVの割合は5.9%となり、国産車よりEV化が進んでいる結果となった。さらに1月31日には、中国のEV大手の比亜迪(BYD)が日本で乗用車EVの販売を開始した。
参考までに22年の登録車(軽自動車の規格を超える大きさの自動車)の販売構成比・販売台数(乗用車)をみると、ともに大半を占めているのはハイブリッド車(HV)とエンジン車だと分かる。HVの全体に占める販売構成比は前年比6.2%増の49.0%(販売台数は108万9077台)、ガソリン車は同7.0%減の42.3%(販売台数は93万8750台)であった。ガソリン車とHVが入れ替わった形となったが、合わせて90%以上となった。