50歳は多くの人が定年やその先の老後生活について思いを巡らせる「節目の年齢」。同時に「老後のお金は大丈夫だろうか……?」と老後資金についての不安が芽生えるケースがほとんどのようです。

そうはいっても、何から始めればいいか分からない、「お金を増やすには投資」と聞いても経験ゼロなので不安……そんな声に「50歳、投資経験ゼロ、資金ゼロの方も心配はいりません」と寄り添うのは、お金のパーソナルコーチとして絶大な信頼を得る濵島成士郎氏。

著書『老後の不安がなくなる50歳からのお金の増やし方』では、用意すべき老後資金の把握のしかたから、投資の実践までわかりやすく優しく指南しています。今回は特別に、同書の第1章『結局、「これからの人生、必要なお金」はいくらか?』の一部を公開します(全3回)。

●第2回:老後破産回避! 生活費、介護費用 etc.「老後かかるお金」を“ざっくり”把握する方法

※本稿は濵島成士郎著『老後の不安がなくなる50歳からのお金の増やし方』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

それでも「公的年金は破綻しない」3つの理由

老後の生活で、なんと言ってもみなさんの収入の柱になるのが「公的年金」です。

年金については、「近い将来、破綻する」「若い世代はもらえない」などといった、虚偽の情報が飛び交っているため、不安を抱いている人が多いと思います。

でも、安心してください。

公的年金は「近い将来、破綻する」こともなければ、「若い世代がもらえなくなる」こともありません。いずれも虚偽の情報、つまり「フェイクニュース」なのです。

将来、公的年金がいくらもらえるかの前に、まずはそれらの誤解をただし、みなさんの不安を解消することから始めたいと思います。

公的年金が破綻する可能性は、限りなくゼロに近いです。その理由は3つあります。

1つめの理由は、「財政が破綻しないように調整している」からです。

どういうことかと言うと、「物価の上昇(インフレ)や賃金の伸び率」と「現役世代の減少と平均余命の延び」を考慮して、年金が破綻しないように給付水準を調整しているのです。これを「マクロ経済スライド」と呼びます。

2つ目の理由は、税金でまかなう金額を上げることで、破綻を防ぐことができるからです。

公的年金のうち、国民年金部分の半分は税金でまかなっています。もし、財政が破綻して年金が支給されなくなれば、多くの人が生活できなくなり、日本中が大混乱に陥るでしょう。それを防ぐために、年金財政が厳しくなったら、税金でまかなう金額を上げることで、破綻しないようにすることが可能なのです。

3つ目の理由は、公的年金を運用して増やしているからです。

公的年金は、年金積立金管理運用独立行政法人(Government Pension Investment Fund)、通称「GPIF」が運用しています。資産規模は約192兆968億円に達し、世界最大の投資家と言えます。運用成果は、2001年からの累計でじつに99.9兆円も儲かっているのです(2022年度第2四半期末)。