2022年10月、円/ドルレートが32年ぶりの円安に

2021年末115.12円/ドルだった円/ドルレートは、2022年3月末には121.75円と日米の金利差の開きから円安が進み、ついには10月21日には151.90円と、実に32年ぶりの円安となりました。この過程で、政府・日銀は9月と10月に、24年ぶりとなるドル売り/円買い介入に踏み切ったわけです。

●2022年 円/ドルレート

筆者作成 ※2017年末~2022年12月15日

この円安の背景は、日米金利差の拡大によるところが大きく、150円台の円安の後、12月に135円程度まで急速に円高になったのも、米国金利上げのペースダウンにより、金利差拡大にブレーキがかかると見たことが背景にあります。

ただ、そもそも今回の円安の根底にあるのは、日本経済の成長力の減退、国の債務残高への懸念、少子高齢化による人口減少など、将来見通しへの懸念がある点も見逃せません。

2022年の米国株投資は、株安と円安の1年

ここまで米国株価と為替について、それぞれ振り返りましたが、2022年の「日本から米国株投資」の観点でいえば、特筆すべきは、なんといっても米国株安と円安が同時であった点でしょう。

円/ドル為替をヘッジしていない限り、円からドルにして米国株に投資するのが通常です。その場合に、米国株自体(S&P500)は18.3%下がっても、円換算で計算するので、投資評価額は“押し戻せ”ます。それが2022年は効果を最大に発揮し、2.6%下げた日本株に対して、なんと米国株に投資していたほうが1.6%ほどよかったのです(2022年12月15日現在)。

●2022年 日米株価パフォーマンス

筆者作成
2021年末を100として指数化。図内の数値は2022年12月15日時点のもの。

外国株投資では、為替は副次的に考えるべき

米国株投資において、為替の変動はこのように有利に働くこともあれば、逆に円高へ揺り戻せば資産が目減りすることもあります。そのため、外国株投資をしようにも、為替リスクがあるからと踏み出さない人も多いのですが、為替リスクは長い間に株価の上昇で消えていきます。

あくまでも為替は、株に投資した後に来る副次的なものと見るとよいでしょう。また米国株投資をする場合に、為替ヘッジするよりも、ヘッジしないほうが、余計なコストを払わず、リスクの平準化も図れます。