生き別れの父が亡くなり、遺産が夏美さんのもとへ…

「そんなとき、母から父が亡くなったことを知らされました。父は母と別れた後ずっと独身で私以外に子どもがいないまま、病気で亡くなったのだそうです。その父に2000万円ほどの遺産があり、“唯一の相続人”である私が相続することになったのです。
不謹慎かもしれませんが、父が亡くなっても『悲しい』という気持ちはほぼわかず、ただ遺産だけが私のものになりました。やりくりしてなんとか貯金ができる状態だったのに、急に2000万円ものお金が入ったのです」

ここで、夏美さんが自身を“唯一の相続人”と言っている点について、補足しておきましょう。遺言がある場合は話が変わるのですが、ない場合は基本的に配偶者と第1順位血族である子が相続人となります。ただ、夏美さんのお母様は婚姻関係が離婚によって終わっているので配偶者(相続人)にはならず、今回のケースでは新しい配偶者(再婚した場合の妻)や子(異母兄弟)もいなかったので、夏美さんのみが唯一の相続人となったわけです。

夏美さんのお話に戻しましょう。2000万円の使い方について、プランがあると話を続けました。

「遺産の半分は絶対に手を付けずに、母と私のために使いたいと思っています。でも、半分は自分の将来のために使いたいと思い、ワーキングホリデーでオーストラリアに行こうと思うんです。保育士の仕事は日本に帰国してからでも見つかるので、いったん今の保育園は退職します」。

母1人子1人の家庭——夏美さんはお母様の負担をなるべく減らそうと、早く社会に出ることができ、かつ資格職ということで、短大から保育士として働く選択をしたそうです。本当は、夏美さんは海外の文化や語学にも興味があったそうですが、4年制大学よりは短大、語学よりは仕事に直結しやすい保育ということで、今の道を選んだ背景もあったそうです。

そして、夏美さんは本題について切り出しました。

「ご相談したいのは、お金の運用についてです。持ち慣れない大金が入って、正直に言ってどうしていいか分かりません。実は今、保険会社から保険での運用を勧められているのですが、加入しても大丈夫でしょうか? ワーキングホリデーに行くとなると現地で働いたとしても、かなりお金を使うことになりそうなので、せめてその“出費”以外の残ったお金では失敗はしたくないんです」

●夏美さんが勧められた保険商品とは? 後編『“棚ぼた”的に手にした遺産で…人生を“大逆転”させた女性の「驚きの生き様」にて解説します。