保険の安心か、老後の安心か、どちらが必要?
また、前述したように、「若いうちは高額の死亡保障は不要だけれども、大きな病気やケガの時に保険金を受け取れる医療保険に安い保険料で加入できるから、若いうちに生命保険に加入した方が良い」という点についても、高額療養費制度があるので、よほど特殊な医療を受けない限り、「医療保険に加入しておいて良かった」ということにはならないでしょう。
以上の点を考慮すると、生命保険は案外、加入しなくても何とかなるという程度のものであることが、分かります。
ちなみに、これから話すのは筆者の例です。私は25歳の時に死亡保険金2000万円の定期付終身保険に加入しました。月々の支払保険料は1万3000円程度です。これを55歳まで毎月払ってきました。払い込んだ保険料は、ざっと468万円です。
そして今、保険料の払込期間が終了し、残されたのは終身部分のみ。死亡保険金は300万円です。自分が死んだ時の葬儀代くらいにはなるでしょうか。でも、468万円を払って300万円の死亡保険金ですから、リターンはマイナスです。
さらにこれを解約した場合の解約返戻金は、150万円弱です。
もちろん、保険商品ですから投資のリターンに置き換えて考えるのは間違っているのかも知れません。
では、毎月1万3000円を30年間の積立投資に回して、年平均5%のリターンで回せたとしたら、果たして積立額の総額はいくらになるでしょうか。これを計算すると、約1082万円になります。つまり、自分が55歳以内に死ぬことはない方にベッドして、資金を積み立て続ければ、保険の安心は買えませんが、老後の安心を買うことはできるのです。