死亡率「0.231%」でも生命保険に入るべき?

では、20歳代のうちから生命保険に加入する意味はあるのでしょうか。

よく言われるのは、「若いうちは高額の死亡保障は不要だけれども、大きな病気やケガの時に保険金を受け取れる医療保険に安い保険料で加入できるから、若いうちに生命保険に加入した方が良い」ということです。

確かに、高額の死亡保障は不要です。そもそも扶養しなければならない家族がいるケースは少なく、その状態で高額の死亡保障が付いた保険に加入しても、誰を保険金の受取人にするのかという問題があります。

恐らく、両親を保険金の受取人に指定するのだとは思いますが、死亡保険は一家の大黒柱にもしものことがあった場合、残された家族が経済的困窮に直面するリスクを軽減するために存在しています。

だとしたら、すでに経済的には豊かな水準にあるはずの親を保険金の受取人にして、高額の保険料を払って死亡保険に加入するのは、おかしな話です。

加えて、若い人の死亡率を見れば、そもそも死亡保険は必要ないことが分かります。人口動態統計によると、20~24歳の死亡率は、人口10万人に対して34.2人です。25~29歳でも35.1人にしか過ぎません。率にすると、20~24歳が0.0342%、25~29歳が0.0351%です。自分自身がその0.035%の中に入る確率はゼロとは言いませんが、20歳代で亡くなり、「死亡保険があって助かった」という状況に直面する人は、限りなく少数だということです。

ちなみに、もう少し年齢階層を上げたとしても、35~39歳で人口10万人に対して61.1人、40~44歳で91.5人、45~49歳になるとやや上がりますが、それでも145.4人、50~54歳で231.9人です。50~54歳を率で計算すると、0.231%です。

50~54歳の人で、自分が死ぬ確率は0.231%しかないわけですが、それでも高額の保険料を支払って生命保険に加入しますか、ということが問われるわけです。

もちろん、なかには「0.231%しかないといっても、それはあくまでも確率の問題。自分がそこに含まれない保証はどこにもない」という心配性の人は当然いるわけで、そういう人が生命保険に加入することを否定するつもりはありません。

ただ、確率の点で考えると、生命保険に加入するのは、自分の資産の効率性を高めるうえで、あまり望ましいとは思えません。