なぜカタルーニャが独立?
カタルーニャの独立宣言後、スペイン政府はカタルーニャ州独立派への締め付けを強めます。しかし2021年2月、カタルーニャ州議会選挙において独立派が再び過半数を占めると、スペイン政府は態度を軟化させ、服役中だった独立派の主導者らに恩赦を与えました。
【カタルーニャ独立宣言後の動き】
・2017年11月:スペイン政府がカタルーニャ前州副首相らを拘束(前州首相は国外へ脱出)
・2018年5月:カタルーニャ州議会が独立派の新州首相を選出
・2019年10月:スペイン最高裁がカタルーニャ前州副首相に禁固13年の判決
・2020年9月:スペイン最高裁がカタルーニャ州首相の公職を停止
・2021年2月:カタルーニャ州議会選挙で独立派が過半数を維持
・2021年6月:スペイン政府がカタルーニャ前州副首相らに恩赦
そもそも、カタルーニャはなぜスペインからの独立を目指すのでしょうか。きっかけとなった自治憲章に独立色の濃い内容が盛り込まれたことからも、カタルーニャにはもともとスペインへの帰属意識が低いことがうかがえます。
カタルーニャは1479年にスペイン王国が成立するまで異なる国家でした。またスペインへ組み込まれた後も、独自の言語や文化といったアイデンティティーを残し続けます。現在の独立問題は、この時から始まっていたともいえるでしょう。1931年にスペインが共和国制へ移行すると、カタルーニャも自治政府の設置が認められます。
地域主義に対する弾圧が進められたフランコ独裁政権時代は、カタルーニャの独自性が脅かされたこともありました。しかし独裁政権はカタルーニャにアイデンティティーを失わせるには至らず、1979年に崩壊します。カタルーニャは自治権を回復し、現在までスペインとは異なる文化を維持しながら存在してきました。
このように、カタルーニャはスペイン王国を構成する地域でありながら、歴史的に異なる成り立ちを持ち、言語や文化も同じではありません。直接のきっかけは自治憲章への違憲判決だとしても、もともと分断が起こりやすい土壌があったのです。
【スペイン株価指数(IBEX35)の月足(2017年1月~2022年9月)】