資源高で貿易赤字が過去最大
原油価格の高騰は、エネルギー資源を輸入に頼る日本にとって貿易収支を悪化させる要因です。今年は原油価格が大きく上昇したことから、8月の貿易収支は2兆8173.24億円の赤字となりました(速報値)。内訳は輸出8兆619.25億円に対し輸入が10兆8792.49億円で、単月の赤字幅としては過去最大です。また、同時に進行した円安も輸入額を押し上げ、赤字幅を拡大させる要因となりました。
【貿易収支の推移】
【原油価格とドル円の推移(2022年1月3日を100とした場合)】
原油価格は、ロシアがウクライナへ侵攻した今年2月に大きく上昇しています。ロシアは原油の生産量で世界3位の規模を持ちますが、主要な先進国が制裁の一環でロシア産原油の輸入を停止したことから需給が逼迫し、原油価格を高騰させました。
【1日あたり原油生産量上位5カ国(2020年)】
1. アメリカ:1647.6万バレル
2. サウジアラビア:1103.9万バレル
3. ロシア:1066.7万バレル
4. カナダ:513.5万バレル
5. イラク:411.4万バレル
出所:外務省 1日あたりの原油の生産量の多い国
原油の高騰は、世界的に発生しているインフレの一因と考えられています。特にロシア産原油を多く輸入していたヨーロッパでは燃料価格の高騰が著しく、ユーロ圏における8月の消費者物価指数は前年同月比9.1%と過去最高を記録しました。