直近の個人金融資産は2000兆円を維持するも昨年末に比べ減少
日本銀行が3カ月に1度の頻度で公表している「日銀資金循環統計」をご存じでしょうか。よく「個人金融資産が2000兆円を超え……」といった文面の数字は、この資金循環統計がベースになっています。
資金循環統計とは、一国に生じる金融取引の結果、保有されている金融資産や負債の額を、家計部門、企業部門、政府部門というように経済主体、つまり経済を回している部門ごとに記録した統計のことです。つまりこの数字を見れば、この3カ月間、日本国内でお金がどこにどう流れたのかが分かるのです。
たとえば会社員に勤務先から給料が支払われたとしましょう。この場合、企業は銀行にある自社の口座から、社員が指定する銀行口座に給料を振り込みます。その結果、資金循環統計では「民間非金融法人企業」、つまり銀行など金融機関以外の企業の現金・預金の残高が減少する一方、「家計」の現金・預金の残高が増加します。
では、9月20日に公表された資金循環統計の数字をチェックしてみましょう。一番関心の高いのは、やはり家計の金融資産でしょう。6月末時点の金融資産総額は2007兆円で、3月末の2004兆円に比べて3兆円の増加になりました。
とはいえ、2021年12月末時点では、2014兆円だったので、3月末にかけて10兆円の減少となり、そこから若干戻したというのが現状です。
金融商品別の残高でみると、
現金・預金・・・・・・・・1102兆円(54.9%)
債務証券・・・・・・・・・25兆円(1.3%)
投資信託・・・・・・・・・86兆円(4.3%)
株式等・・・・・・・・・・199兆円(9.9%)
保険・年金・定型保険・・・538兆円(26.8%)
その他・・・・・・・・・・56兆円(2.8%)
という内訳になっています。超低金利であるにも関わらず、ほとんど利息のつかない現金・預金に1102兆円もの資金が集まり、それが個人金融資産の54.9%も占めています。