高校の金融教育以前に必要なのは親世代のリテラシー向上
あるいは、「これからは資産運用が必要ですよ」などとアドバイスされた末に、変な投資商品を勧められたりしていないでしょうか。
4月に警察庁が発表した「令和3年における生活経済事犯の検挙状況等について」によると、投資詐欺などの利殖勧誘事犯の検挙事件数は過去10年間で最も高くなり、なかでも集団投資スキーム(ファンド)による被害額が最も大きくなっています。
また、利殖勧誘事犯に関する相談受理件数は、令和2年の1806件から大幅に増え、令和3年は3109件にも達しました。
しかも、これはここ数年の傾向ですが、65歳以上の高齢者ではなく、20代、30代の若い人たちの相談当事者が増えています。
資産運用詐欺の酷い点は、支払ったお金がほとんど戻って来ないケースが多いことです。「元本確実」、「高利回り」を謳って資金を集めるケースが大半であり、しかも最近では、著名な投資家などを広告塔に立てて、いかにも怪しいスキームの投資案件を販売しているケースが増えています。そして一度、引っ掛かったら、払ったお金は戻ってきません。詐欺であると認定され、首謀者が逮捕、残余財産を配当することになったとしても、戻ってくるのは数%程度の話です。
高校家庭科での金融教育が話題になっていますが、本当に大事なのは、投資で資産を増やすことの前に、もっとお金について考えるべきこと、学ぶべきことが、もっとたくさんある、ということです。それを学校の家庭科だけで伝えるのは、恐らく困難でしょう。
だからこそ、最終的には家庭教育が大事になるのだと思います。親から子に、無駄なお金の使い方をしない、騙されないための方法を伝えていく。そのためには、高校における家庭科教育よりも、まずは子供を持つ親が、お金のことをしっかり学ぶ必要があるのかも知れません。