投資で大けがをしないために施された3つの対策

つみたてNISAを始めるには、まず金融機関で専用口座を開設します。この口座は年単位口座なので、いったん開設すると毎年新しい口座が自動開設されます。NISAにおいては、この「年単位」という点が非常に重要で、つみたてNISAの場合、この口座に入金できる金額が年間40万円までと設定されています。またその資金も一度に入れることは許されず、月に1回のように定時定額、つまり「積み立て」でのみ入金が可能です。

投資は、安く買って高く売ればもうかるのですが、いつが安いのか、高いのかなど誰も分かりません。値段の変動ばかり気にすると、投資は始められませんから、最初から「タイミングは気にするな!」と積み立てオンリーとしているのが大けがをしないための対策の1つ目です。実際、毎月同額を積み立てすれば、値段が高い時には少ししか買えないので「高掴み」を避けられますし、値段が安い時はたくさん買えるので「よい値段で仕入れる」ことができます。

「積み立て」たお金で買い付けするのは投資信託です。日本には6000本近く投資信託があるのですが、つみたてNISAは金融庁が「長期の資産形成にふさわしい」と設定した基準をクリアした投資信託しか購入することができません。現在その数は200数本ですから、数ある投資信託の中のたった3%にしか投資ができないようにあらかじめ設定されているのです。これが対策の2つ目です。

金融庁はまず手数料について条件を設定しました。投資信託を購入する際には、購入手数料が3.3%程度かかるのが一般的ですが、つみたてNISAにおいてはどの投資信託を購入してもこの手数料がかかりません。1万円の積み立てから毎月330円差し引かれるのと、差し引かれることなく投資ができるのでは、結構な差が生じます。

日々資産から差し引かれる信託報酬についても、一定水準が設けられています。コストというのは、利益から差し引かれるものですから、投資を始めるにあたり十分注意をしなければならない点です。他にも毎月分配ではないものといった条件があり、これまで金融機関が「売り手理論」を押し付けて投資家が損をしたといった指摘事項を排除するための条件が設定されているともいえます。

対策の3つ目は「長く続けられる」仕組みです。つみたてNISAの積み立てられる金額は年間40万円までと上限が設定されています。月3万3000円であれば、なんとか頑張れる金額と思う方も少なくないでしょう。一度金額を設定してしまえば、あとは自動で指定金額が口座から引き落としとなり、自動で指定の投資信託が買い付けられていきます。まさに初期設定さえしてしまえば、あとは何もしなくてもよいのもつみたてNISAの特徴です。

いったん買い付けた投資信託は、その後20年間は運用益に対する税金がかかりません。20年はなかなかの時間です。20年前、あなたは何をしていましたか? と聞かれて答えられる人は多くないでしょう。実は「忘れてしまいそうなくらい」置いておけるお金を投資に回すことは、資産運用を成功させるための重要事項なのです。