高齢者の虎の子の資産を着服する卑劣な犯罪が高止まり

詐欺被害に遭うのは高齢者に限らないが、高齢者が詐欺被害者となることが多い。高齢になるほど詐欺に遭わないとする自信過剰の傾向も要因とされる。このため、留守番電話などの対策をおろそかにすることが影響しているようだ。ちなみに、内閣府の2017年調査によると、自分は被害に遭わないとする人は、18~29歳が28.2%、30~39歳は27.0%であるのに対し、70歳以上は50.7%と半数強に上る。

手法は変幻自在だ。オレオレ詐欺はもとより、架空料金を請求する事例も多い。未払いがあり、今日中に支払わなければ裁判になる、といった話法で恐怖心をあおることで、相手の心情を揺さぶり、冷静さを欠いた行動を誘発する事例が多い。お金の受け渡しも銀行振り込み方式にとどまらず、ATMで携帯電話の指示に従って振り込ませるほか、コンビニで電子マネーのプリペイドカードを購入させた上でIDを聞き出すなど多様化している。

電話による詐欺が後を絶たないことを考えると、まずは留守番電話を設置し登録番号以外の電話には出ないようにすることが肝心だ。たとえ電話番号が未登録の人でも、緊急の要件であればメッセージを残すはずだ。留守番電話以外にも、呼び出し音が発せられる前に通話の内容を録音することを伝える機種などもある。1~2万円ほどの費用で、数百万円から数千万円の財産が守れることを再認識すべきであろう。

電話であろうが手紙やはがき、あるいはメールであろうが、少しでも疑わしく感じ自分だけでは判断できない場合には、1人で判断しないで親族や知人に相談して客観的な意見を聴くことが欠かせない。そのためにも、日頃から人との交流を大切にする必要がある。

一方、成人年齢の引き下げで18歳や19歳の人が投資に際して親の同意を得ることが不要となったこともあり、若者の間でFX(外国為替証拠金取引)などで詐欺の犠牲になる事例が出ている。2000万円問題もあり、若者世代で将来を見据えた投資意欲は高まっている。高齢者にとどまらず、若い世代に向けた啓発活動も欠かせない。