米国では2022年第2四半期決算の発表シーズンが終盤を迎えている。7月末にはアップル、アマゾン、アルファベット、メタプラットフォームズ(旧フェイスブック)、マイクロソフトの5社が決算発表を終えた。今回は、これらメガテック企業の決算を確認し、現在の米テクノロジー大手が抱える課題を探ってみたい。

巣ごもり需要の縮小に加え、ドル高などの特殊要因が重しに

冒頭に述べた5社は企業名の頭文字などをとってGAFAMとも呼ばれ、PCやスマートフォン、検索エンジンなど、日常生活やビジネスの利便性を高める画期的な製品を数多く提供している。

インターネットサービスに関わりの深いGAFAMは、2020年からのコロナ禍による巣ごもり需要で大きく躍進。2021年第3四半期までは売上高・純利益ベースで前年比20〜30%以上の成長も珍しくはなかった。

しかし5社ともに、2021年第4四半期〜2022年第1四半期の決算にかけて企業成長に陰りが見え始めた。例えばメタは、2021年第4四半期決算において売上高の見通しが著しく低くなる可能性を発表。同社の株価は暴落し、一時的に約240億ドルもの時価総額が失われたことは記憶に新しい。

続く2022年第2四半期決算はどのような結果であったのだろうか。まずはPCなどのハードウェアを主力とするアップルとマイクロソフトの決算を見てみよう。

・アップル
売上高:約830億ドル(前年比+7%)
純利益:約194億ドル(前年比-11%)

アップルでは、2020年第3四半期以来となる純利益の落ち込みが目立った。売上高全体の約5割を占める「iPhone」の売り上げは前年同期比3%増の成長で業績に大きく貢献したが、そのほかのハードウェアの売れ行きは不調。PC「Mac」シリーズの売り上げは10%減、タブレット「iPad」シリーズは前年同期比で2%の減少となった。

販売不振の原因としては、中国のロックダウンによるサプライチェーンの混乱やドル高の影響が挙げられる。また、コロナ禍による外出規制がなくなりオフィス勤務に回帰する流れもPCなどの売り上げ鈍化につながっていると見られる。

一方で、近年において企業成長の推進力となっている「Apple Music」や「Apple TV+」といったサブスクリプションサービス関連の売上高は、前年同期比で約12%増と比較的堅調だ。これらは売上高全体の約2割を占めるまでに成長している。

・マイクロソフト
売上高:約519億ドル(前年比+13%)
純利益:約167億ドル(前年比+2%)

次にマイクロソフトを見てみよう。同社は売上高・純利益ともに成長したが、いずれも市場予想は下回っている。とくに売上高の増加率は2020年以来最低と、成長の鈍化が否めない状態だ。

アップルと同様、サプライチェーン問題やドル高、コロナ禍の特需縮小を受けてPCの売れ行きが低調に。またソフトウェア事業においては、景気後退を懸念する企業を中心に需要が弱まっている傾向だ。

クラウドサービスである「Microsoft Azure」の増収率も低下したが、それでも前年同期比約40%と他部門よりは高い伸び率をキープしている。クラウド事業は売上高全体の約4割を占めるまで成長しており、業績全体の支えになるといえる。

以上のように、2社ともにPCなどハードウェア部門の不調に終わったが、デジタルコンテンツやクラウド事業といったソフトウェア関連は安定的な成長を見せた。

製品の生産体制や流通網を確保しなければならないハードウェアとは異なり、ソフトウェア関連のサービスは提供地域の拡大が比較的容易だ。目下の供給面における問題の影響もそれほど大きくなかったために堅実な成長ができたと考えられる。