食料・エネルギー価格の高騰は、低所得世帯と年金所得世帯に厳しい影響

さて、大和総研が6月24日にリリースしたレポート、「老後に向けた資産形成で再認識したい高インフレへの備え」では、世界的に強まっているインフレ圧力を受け、私たちの生活にはどのような影響が出ているのか、もしインフレがリスクだとするならば、それをどうやってヘッジすれば良いのか、という点が記されています。

まず注目したいのが、「CPI(消費者物価指数)の食料・エネルギー価格と『消費動向調査』の消費者態度指数を構成する『暮らし向き』との間に見られる負の相関関係が注目される」という点です。

これは、食料やエネルギーの価格が上昇すると、「暮らし向き」が悪化していると実感する人が増えるという意味です。

昨今、スーパーなどの陳列棚に並べられている商品の値段が確実に上昇していますし、ガソリンスタンドで給油をすると、あまりの値段の高さに驚くこともあります。

世界的な半導体不足、ロシアによるウクライナ侵攻で資源・エネルギーの輸出制限など、世界のさまざまなところにインフレの原因があり、それらが一斉に、インフレ圧力を強める方向に作用し始めているようです。

しかも今のインフレは、国内需要の高まりと賃金上昇による「良いインフレ」ではなく、資源・エネルギー価格の高騰や円安による「悪いインフレ」の様相を呈しているだけに、一段と暮らし向きが悪化したと実感している人は多いと考えられます。

また、このレポートは、「低所得世帯と年金所得世帯において、食料・エネルギー価格と『暮らし向き』の関係性が大きい(相関が強い)傾向にあること、さらに価格変動の影響度も大きくなっていることが分かる」と指摘しています。

つまり、食料やエネルギー価格の高騰は、低所得世帯と年金所得世帯にとって厳しい影響を及ぼすということです。食べ物で贅沢するかどうかの違いは多少なりともありますが、人間が食べるものや使用するエネルギーの量は、収入が違ったからといって劇的な差がつくものではありません。それを考えれば、年収が低い世帯ほど、収入に占める食料・エネルギー関連の支出は大きくなります。それだけに低所得世帯や年金所得世帯の影響が甚大になるのです。