老齢厚生年金の受給額が多い都道府県ランキング

年金の仕組みが確認できたところで、『令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』から都道府県別に老齢年金の平均月額を見てみましょう。

まずは「老齢厚生年金の受給額」を、都道府県別の平均月額でランキングすると、以下の通りになります。

都道府県別平均年金月額(老齢厚生年金)

単位:円

なお、全国平均は14万6145円でした。

一覧を見ると、1位神奈川県と47位青森県の間には約4万4000円の差があることが分かります。これは月額なので、年ベースに直すと50万円強もの差に。

地域によって物価水準も異なるので、この年間50万円の差がダイレクトに家計に響くかといえば別問題です。それでも、これほど厚生年金受給額に差が開くということは、「現役時代に報酬比例の保険料を納め、受給時はその報酬比例に応じた額を受け取る」という老齢厚生年金の仕組みと照らし合わせると、平均収入となんらかリンクするのかもしれません。

そこで、厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』の都道府県別賃金を見てみましょう。ちなみに、ここで言う「賃金」とは所定内給与額のことで、ざっくりと言えば、残業代や休日手当を含まない、かつ所得税が引かれる前の金額です。

老齢厚生年金受給額が最も多かった神奈川県は平均賃金で全国2位。一方、老齢厚生年金受給額がもっとも少ない青森県は47位。

さらに、都道府県別平均賃金の一覧に老齢厚生年金受給額が多いトップ10の都府県はピンク、老齢厚生年金受給額が低い10県は青で、色付けをしてみます。

都道府県別平均賃金

単位:千円

すると、熊本県は例外ですが、老齢厚生年金の受給額トップ10に入る都府県の賃金は上位にランクインし、反対に老齢厚生年金の受給額が低いワースト10の県は、その多くが賃金でも40位以降になっていることが分かります。

「より多くの厚生年金を納めた人が(≒より給与の高いサラリーマンや公務員が)、老齢厚生年金を多く受給できる」という、厚生年金の仕組みはこういったデータにも透けて見え、リンクしていると言えるでしょう。