日米で大きな開きがあるPBR平均値の違い

では、今の日本の株式市場において、本当にバリュー株投資が有利なのでしょうか。このレポートは、その疑問に答えてくれるものです。

まず、「PBRが高いのはグロース株であり、低いのがバリュー株」と定義しています。PBRとは「株価純資産倍率」のことで、株価を1株あたり純資産で割って求められます。純資産は、会社が持っているさまざまな資産(現金や建物、工場など)から負債(借金)を差し引いたもので、資本や利益準備金、利益剰余金などが含まれています。つまりどこにも返済する必要のない、会社が自由に使うことのできる資産です。そして、この純資産を発行済株式数で割ったものが「1株あたり純資産」であり、PBRを計算する際の分母になるものです。

したがってPBRが1倍を割っているのは、現在の株価が1株あたり純資産に比べて安いということです。何らかの事情で会社を解散させる時、株主は自分の持ち株数に応じて、この純資産からの配当を受けることが出来ます。つまりPBRが1倍を割っている会社に投資すれば、理論上、その会社が解散した時、自分が投資した資金よりも多くの配当が得られることになります。

そのため、PBRが1倍割れまで株価が売られている低PBR銘柄を買っておけば、最悪、その会社が倒産したとしても、投資金額を上回るリターンが得られるかも知れないという期待感から、時々、株式市場で注目されることがあるのです。

しかし、このレポートでも指摘されていますが、日本と米国とでは、バリュー投資の概念がかなり異なるようです。

PBRの平均値を比較すると、日本が1.10倍で米国は3.75倍で3倍もの差があります。日本でPBRが3.75倍などと言ったら、それはバリュー株ではなくグロース株とみなされるでしょう。