将来不安が詐欺被害の一因に…

では、なぜここ1~2年の間に、詐欺的な投資勧誘に関する相談件数や被害件数が増えたのでしょうか。数字の裏を読むと、恐らく将来不安が大きいのではないかと思われます。かつて投資詐欺といえば高齢者が被害に遭うのが一般的でした。1998年に「金融ビッグバン」という一大金融制度改革が行われた時、さまざまな投資詐欺事件が起こりました。「ニューヨークに拠点を置くヘッジファンド会社が運用する外国投資信託で元本保証、年4.8%の利回りを実現」とか、「個人を貸金業登録させ、拠出した資金をベンチャー企業に融資し、年6%の金利収入を確保。もちろん元本保証」といった類の商品が次々に登場しましたが、いずれも詐欺で摘発されました。

また、実際に摘発されたのは2013年とかなり時間が経ってからのことでしたが、米国の医療保険請求債権(MARS、マース)に投資するという商品も、日本で資金を集め始めたのは1998年からです。

これらの投資詐欺の被害者は、その多くが高齢者でした。「退職金など老後資金を持っている」、「投資商品に対する知識が乏しい」、「高金利時代を知っているだけに元本保証と高利回りをチラつかせると引っ掛かりやすい」といったことが、その理由として挙げられます。人にあまり接しない独居老人などは、たまたま勧誘に現れた人に親切にされたため、でたらめな投資商品を購入して被害に遭うというケースもありました。