日本時間に売るともうかる? うわさのアノマリーを検証

ときどきSNSなどで「日本時間に弱い日本株」という意見が散見されます。これは「日本株式は日本の取引時間中(平日午前9時~午後3時)に株価が下がることが多い」という指摘です。もしもこれが本当なら、明確な根拠はないものの経験則から指摘できる値動きの傾向「アノマリー」に数えられるかもしれません。

仮にこのアノマリーが成立するなら「日本時間の開始と同時に売りを仕掛け、終了と同時に買い戻す」という戦略で利益を毎日得られることになります。まさに現代の打ち出の小槌。億万長者も夢ではありません。早速検証しましょう。

日経平均株価で検証したところ、たしかに2021年は10%以上の利益になりました。拮抗しているなら±0%に近づくはずなので、2桁ものリターンが出たのは面白いですね。しかし2019年と2020年では反対にマイナスとなってしまいました。

 

出所:日本経済新聞社「日経平均プロフィル」

単純な勝敗もチェックしましたが、明確な差は見られません。日本時間の「買い」と「売り」に大きな差はなく、むしろ「売り」は負け越しています。

 

出所:日本経済新聞社「日経平均プロフィル」

サンプルは3年と短いですが、今回の検証ではアノマリーといえるほど明確な傾向は観測できませんでした。残念ですが、やはり簡単に利益を得られる方法はなかなか見つかりませんね。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。