2021年10月28日、旧フェイスブック社が社名を「メタ」に変更した。さらに、今年に入ってからは米マイクロソフトもゲームソフトウェア開発大手、アクティビジョン・ブリザードの買収に向けて687億ドル、日本円にして約8兆円を投じると発表するなど、今、メタバースへの注目度が急速に高まっている。そもそも『メタバース』とは何なのか、その市場規模や個人投資家が知っておきたい各業界の取り組みについて解説していく。

市場規模は400億ドル超から、やがて7000憶ドルにも!? メタバースの導入事例

メタバース(Metaverse)とは、簡単に説明するとインターネット上の仮想空間のこと。「meta(超越)」と「universe(宇宙)」を組み合わせた造語で、インターネットの仮想空間上で行われるゲームやビジネス、コミュニティ自体を指す場合もある。特にコロナ下で人と人とが直接会う機会が減った背景もあり、仮想空間上で実現する新たなコミュニケーション、消費空間の在り方に期待を寄せる声も多い。

一般的に、ユーザーは自身の分身となるアバターを作成し、サービスの利用や他者のアバターと交流を行う。メタバースへのアクセス方法は多種多様であり、これまでのようにパソコンやスマートフォンから参加するだけでなく、VR(仮想現実)による疑似体験やAR(拡張現実)技術を利用した現実世界とリンクさせる使い方も想定されている。

近年ではビジネス利用も増加しており、例えば米VRChat社が提供するプラットフォームでは、サンリオが音楽イベントを主催。また、日産自動車は銀座で運営中のショールームを仮想空間上に再現した「NISSAN CROSSING」をオープンしている。

さらに、海外では自治体が主体となって推進しているケースもある。韓国のソウルでは公共サービスの一部をメタバース上で提供開始。これまで現地でしか受けられなかったサービスが遠隔利用できるようになるという。

メタバースの市場規模は非常に大きく、カナダの企業経営コンサルタント会社エマージェン・リサーチによると、2020年の市場規模は476.9億ドル(日本円で約5兆5000億円)にのぼるという。また米総合情報サービス大手ブルームバーグ L.P.の試算では、ソーシャルメディアやライブなどの周辺業界も含めた市場規模は4787億ドル(日本円で約55兆円)、2024年には7833億ドル(日本円で約90兆円)を突破し、年平均で13.1%も成長する可能性があるとのことだ。単純比較はできないが、三菱総合研究所のデータによれば2021年の日本の実質GDP予測値は540兆7800億円。メタバースの市場規模はすでに日本全体の経済活動の約1割に匹敵する大きさである可能性もある。