日本を代表する総合電機メーカー東芝は2021年11月、会社を「インフラサービス会社」「デバイス会社」「資産管理会社」に3分割する方針を発表した。国内の大手企業では類を見ない大胆な計画として注目を浴びている。米国でも製薬大手のジョンソン・エンド・ジョンソン、電気事業を手掛けるゼネラル・エレクトリックといった巨大企業が相次いで事業部門の独立を発表、分社化の動きが加速している。そこで今回は会社分割について、その目的や投資家への影響を解説していく。
東芝の会社分割はどんな形式か
会社分割とは会社の全事業または一部をほかの会社に継承する、企業組織の再編手法だ。株式会社あるいは合同会社で行われ、分割により事業を切り離した会社は分割会社、事業を受け継いだ会社は新設(承継)会社と呼ばれる。
また、新会社を設立して承継させる場合は新設分割、既存の会社が受け継ぐ場合を吸収分割と呼ぶ。新設(承継)会社は事業を受け継いだ対価として、新たに発行した自社株またはそれに相当する金銭などを分割会社またはその株主に対して交付することが、会社に関するルールをまとめた会社法で定められている。
東芝の事例は新設分割に当てはまり、従来の企業体は「資産管理会社」として存続。「インフラサービス会社」「デバイス会社」の2社は新設企業として2023年度下期の上場が見込まれている。現東芝の株主は今まで保有していた東芝株に加え、新規上場2社の株式を新たに取得することになる。
日本の会社法の規定には当てはまらないが、ジョンソン・エンド・ジョンソンやゼネラル・エレクトリックも東芝と同様の形式で分割される見通しであり、新設分割は「スピンオフ」とも呼ばれている。