【政策3】子育て支援

分配施策のなかでは子育て世帯への支援拡充も1つのポイントだ。岸田首相は子育て世帯にとって負担の大きい住居費・教育費の支援を強めると述べた。

特に教育費支援では「大学卒業後の所得に応じて出世払いを行う仕組み」について触れている。これは大学の授業料や入学金の支払いを国が立て替え、卒業後の学生の支払い能力に応じて所得の一定割合を納付する「卒業後拠出金制度(J-HECS)」を指していると考えられる。

また、学童保育制度の拡充や保育の受け皿整備など、子育てがしやすい環境作りについても言及している。

自治体によっては各種子育て支援を行っているところもあるが、対象や募集枠は限定的だ。より多くの世帯が支援を受けられるようになれば、少子化の改善につながる。子どもが増えれば子育て用品や教育、学校関連の商品の需要も増していくはずだ。

【政策4】デジタル田園都市構想

成長戦略ではデジタル田園都市構想にも期待が高まる。

1980年、第68・69代の内閣総理大臣、大平正芳氏が「都市の持つ高い生産性、良質な情報と、田園の持つ豊かな自然、潤いのある人間関係を結合させ、健康でゆとりのある田園都市」をつくる構想を掲げた。

デジタル田園都市構想は大平氏の構想を現代風に解釈し直したものだ。デジタル技術を活用し、医療や教育、働き方などにおいて、地方と都市の格差を縮めていく。また、新型コロナウイルス感染拡大を受け、地方に人を分散させる狙いもある。

具体的には、自動走行による介護先への送迎サービスや配達の自動化、リモート技術を活用した働き方や農業、観光産業でのデジタル技術の活用に取り組むと、岸田首相は10月8日の所信表明演説で述べた。

デジタル田園都市構想の実現には企業のDXやテレワークの推進、教育や医療もネットワークで行えるような環境の構築が重要になる。5Gをはじめとするネットワークインフラの敷設など、関連企業のチェックも欠かさないようにしたい。

【政策5】国土強靱化投資

岸田首相は5年間で15兆円規模の「防災・減災・国土強靱化投資」にも取り組むと明言している。

国土強靱化投資の経済効果については、みずほ総合研究所が過去に試算を出している。2018年12月に3兆円の追加歳出が組まれた際には、国内で生産されたモノやサービスの付加価値を示す「名目GDP」を、2020年度を含む累計で0.5〜0.6%程度押し上げる効果があるとされた。

公共事業の増加は雇用創出にもつながり、さらには所得増加による消費の拡大といった、資金の循環を加速させる効果も期待できる。

建築関連の業績向上だけでなく、消費者の生活に余裕ができることで、これまで見てきたように生活にまつわるモノやサービスの需要も増していくだろう。