finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
未来予想図

【プロが解説】住宅価格高騰への処方箋――関心を集める「アフォータブル住宅」と「中古不動産」、問題に向き合う企業にも注目

伊藤 里沙
伊藤 里沙
コモンズ投信 アナリスト
2026.08.03
会員限定
【プロが解説】住宅価格高騰への処方箋――関心を集める「アフォータブル住宅」と「中古不動産」、問題に向き合う企業にも注目

日本の新しい国づくりに向け“変化を始めた企業”、“変化にチャレンジする企業”を中心に、中長期的な視点で厳選した国内株式を主な投資対象とする、コモンズ投信のアクティブファンド「ザ・2020ビジョン」。その月次レポートから、アナリストによるコラムをご紹介します。
※本稿は「ザ・2020ビジョン」月次レポート(作成基準日 2026年6月30日)内『未来予想図』を転載・再編集したものです。

不動産価格上昇の解決策となりうるアフォーダブル住宅

近年、日本では不動産価格の上昇が続いています。なかでも東京都心部の価格上昇は著しく、2025年度に東京23区で販売された新築分譲マンションの平均価格は1億3,784万円と、過去最高を更新しました。首都圏全体でも平均価格は9,383万円となり、こちらも過去最高となっています。(不動産経済研究所, 2026)

一方で、私たちの所得の伸びは住宅価格ほど急速ではないため、多くの人にとって住宅にかかる費用負担は高まっています。住宅価格の高騰は、単に家計への負担が増えるだけの問題ではありません。例えば、医療・介護・保育・物流などを支えるエッセンシャルワーカーが職場の近くに住みにくくなることで、都市機能そのものに影響を及ぼす可能性も指摘されています。

こうした課題への対応策として注目されているのが、「アフォーダブル住宅」です。アフォーダブル(Affordable)とは「手頃な価格で利用できる」という意味で、市場価格よりも低い家賃で提供される住宅を指します。東京都もこの課題を重要視しており、2026年2月には「官民連携アフォーダブル住宅供給促進ファンド」を創設しました。東京都が100億円を出資し、民間資金と合わせて総額約200億円規模のファンドを組成することで、子育て世帯などを対象に、市場家賃の約8割程度の価格で住宅を供給することを目指しています。(東京都, 2026)

中古不動産はお財布にも環境にも社会にもやさしい

また、アフォーダブル住宅という観点では、新築より価格を抑えられる中古住宅の活用も重要な選択肢です。既存住宅をリノベーションして活用することは、環境面でもメリットがあります。建物を解体して新築するのではなく、既存の建物を長く使うことで、建設時に必要となる資材やエネルギーを抑えられ、温室効果ガスの排出や資源の使用削減につながります。

加えて、空き家をリノベーションした中古不動産であれば社会的な価値も生み出します。日本では空き家の増加が大きな社会課題となっており、2023年時点では約14%が空き家といわれています。(総務省, 2025)管理されない空き家は景観の悪化や防犯・防災上のリスク、野生動物の住みかになりうる場合があります。こうした空き家をリノベーションし、再び住宅として活用することは、地域の活性化にも貢献します。

住宅価格の高騰や空き家の増加は、一時的な問題ではなく日本にとっては中長期的に対応していかなければいけない問題だと考えています。こういった問題に向き合い地道な努力を続ける企業に注目していきたいです。

 

<参考文献>
不動産経済研究所(2026)「首都圏 新築分譲マンション市場動向」
https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/670/2643ps.pdf
東京都(2026)「【国内初】アフォーダブル住宅を供給する官民連携ファンドを創設」
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/sangyo-rodo/affordable-fund-3
総務省(2025)「住宅・土地統計調査」
https://www.stat.go.jp/viz/jyutaku/index.html

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
1

関連キーワード

  • #運用会社
前の記事
【プロが解説】人口減のなか注目される私鉄各社の貢献――駅を起点に人を呼び込み、沿線価値を高めるまちづくり
2026.07.01

この連載の記事一覧

未来予想図

【プロが解説】住宅価格高騰への処方箋――関心を集める「アフォータブル住宅」と「中古不動産」、問題に向き合う企業にも注目

2026.08.03

【プロが解説】人口減のなか注目される私鉄各社の貢献――駅を起点に人を呼び込み、沿線価値を高めるまちづくり

2026.07.01

【プロが解説】資源安全保障の観点から見たサーキュラーエコノミーの価値ーー資源調達の構造をどう変えるか

2026.05.01

【プロが解説】「アンソロピック・ショック」とは?AIがSaaSを使う側に回り、揺らぐ課金モデル

2026.04.01

【プロが解説】8.5兆円の国内アパレル市場は群雄割拠、商品戦略と周辺事業が企業価値を左右する

2026.03.02

【プロが解説】2025年度 統合報告書審査を終えて― 企業価値向上に向けた評価視点と今後の課題

2026.01.20

【プロが解説】高齢化と地球温暖化・デジタル化がもたらす、フィットネス施設の環境変化

2026.01.05

【プロが解説】光電融合技術「シリコンフォトニクス」が変える未来ー2026年、光の時代が始まる

2025.11.18

【プロが解説】2026年3月のWBCはネットフリックスが独占! 高度な視聴体験を実現する、新たな通信技術活用に期待

2025.11.04

【プロが解説】自然界から調達可能な次世代エネルギー技術「核融合発電」と、リサイクル技術に見る”ビジネスチャンス”とは

2025.10.01

おすすめの記事

世界最大級のセカンダリー運用会社が日本進出 分散が効いたプライベートアセットをあらゆる投資家に

Finasee編集部

【新NISA対象】ブラックロックから「iシェアーズ S&P500 トップ20 ETF」「iシェアーズ ゴールド ETF」が上場! 個人投資家にとっての魅力は…

Finasee編集部

「攻め」と「守り」の均衡点はどこに?--2026事務年度金融行政方針のポイント解説

川辺 和将

三井住友銀行で「世界のベスト」が一番人気、「日経225」が落ちて「ダウ・ジョーンズ」や「MSCIコクサイ」がランクアップ

finasee Pro 編集部

SBI証券の売れ筋は国内株の沈下で「オルカン」「S&P500」が定番に、一方で非「マグ7」の「世界のベスト」がランクアップ

finasee Pro 編集部

SMBC日興証券で「世界のベスト」がトップに浮上、「日経225」人気が衰えてアクティブファンドの出番

Finasee編集部

マン・グループの洞察シリーズ⑳
AIが引き起こす企業の「統合・拡大化」と「細分化」~データ優位性がもたらす産業別・組織再編の行方

著者情報

伊藤 里沙
いとう りさ
コモンズ投信 アナリスト
新卒で証券会社の投資銀行部門に入社し、M&Aや資金調達の提案業務に従事。その後、コンサルティング業務を経て大学院に進学し、環境学を専攻。大学院では環境経済学をはじめ、さまざまな分野から環境問題について学んだ。2026年よりコモンズ投信に入社。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
「攻め」と「守り」の均衡点はどこに?--2026事務年度金融行政方針のポイント解説
“霞が関文学”で読み解く金融界② 仕組債販売ルール指針案と「文脈検査の拡張」
三井住友銀行で「世界のベスト」が一番人気、「日経225」が落ちて「ダウ・ジョーンズ」や「MSCIコクサイ」がランクアップ
【金融風土記】「豊かさと分散」の経済圏――山形の金融動向とは
預り資産額1兆円を見据えるブレイクスルーの全貌  ゴールベースとチーム体制でリテール金融を変える
マン・グループの洞察シリーズ⑳
AIが引き起こす企業の「統合・拡大化」と「細分化」~データ優位性がもたらす産業別・組織再編の行方
日本版IFAに迫る自主規制の刃、そのとき求められる真の「独立」とは何か
金利上昇も「貯蓄から投資へ」の逆回転見られず、ラップ契約額は初の30兆円台に――資産運用業協会長の9月定例会見
上位4ファンドの「オルカン」「S&P500」「世界のベスト」「グロース・オポチュニティ」にそれぞれの事情=2026年8月純流入額トップ20
「顧客本位」は現場に届いているか――金融庁「令和7年度実績評価書」から考える、次の一歩
上位4ファンドの「オルカン」「S&P500」「世界のベスト」「グロース・オポチュニティ」にそれぞれの事情=2026年8月純流入額トップ20
「顧客本位」は現場に届いているか――金融庁「令和7年度実績評価書」から考える、次の一歩
【金融風土記】「豊かさと分散」の経済圏――山形の金融動向とは
マン・グループの洞察シリーズ⑳
AIが引き起こす企業の「統合・拡大化」と「細分化」~データ優位性がもたらす産業別・組織再編の行方
預り資産額1兆円を見据えるブレイクスルーの全貌  ゴールベースとチーム体制でリテール金融を変える
金利上昇も「貯蓄から投資へ」の逆回転見られず、ラップ契約額は初の30兆円台に――資産運用業協会長の9月定例会見
野村證券で「国内株ファンド」が総じてランクダウン、「グロース・オポチュニティ」や「S&P500」など米国株が復調
“霞が関文学”で読み解く金融界② 仕組債販売ルール指針案と「文脈検査の拡張」
SBI証券の売れ筋は国内株の沈下で「オルカン」「S&P500」が定番に、一方で非「マグ7」の「世界のベスト」がランクアップ
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【日本株アクティブファンド編】
預り資産額1兆円を見据えるブレイクスルーの全貌  ゴールベースとチーム体制でリテール金融を変える
【金融風土記】「豊かさと分散」の経済圏――山形の金融動向とは
日本版IFAに迫る自主規制の刃、そのとき求められる真の「独立」とは何か
【第2回】債券ファンドは何を見て選ぶのか
「支店長! 今の時代、対面の営業はネット取引ができないお客さまのためにあるのですよね? であれば、いずれこの仕事はなくなりますよね?」
お客さまとその家族を深く知り、寄り添い続け、総資産の増加を目指すストックビジネスへ case of 横浜銀行
「真剣な姿勢できれいごとを貫く」時代を捉え、顧客に寄り添い、自ら変革し続ける case of 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
上位4ファンドの「オルカン」「S&P500」「世界のベスト」「グロース・オポチュニティ」にそれぞれの事情=2026年8月純流入額トップ20
テクノロジー関連の成長とテーマ型ファンドへ投資する際の注意点
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【日本株アクティブファンド編】
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら