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金利上昇も「貯蓄から投資へ」の逆回転見られず、ラップ契約額は初の30兆円台に――資産運用業協会長の9月定例会見

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2026.09.14
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金利上昇も「貯蓄から投資へ」の逆回転見られず、ラップ契約額は初の30兆円台に――資産運用業協会長の9月定例会見

資産運用業協会は9月11日、8月末時点の投資信託の概況を公表しました。純資産総額は公募株式投信(除ETF)が212兆6835億円(前月比7兆4562億円増)、公社債投信やETFを含む公募証券投信が364兆2855億円(前月比11兆7578億円増)で、いずれも過去最高を更新しました。運用中の本数は11本減(新規設定20本、償還31本)で5840本となりました。DC専用ファンドの純資産総額は2カ月ぶりに増加に転じ、19兆9503億円でした。

 

「大きなインパクトは見えにくい」

同日に開いた定例記者会見で菱田賀夫会長は、金利上昇による「貯蓄から投資へ」の逆回転への懸念について問われ、「貯蓄への回帰や国債など金利物も含めた投資の多様化の見方もあると思うが、私たちが見ている限り、貯蓄から投資への流れは続いている」と説明。9月1~10日の公募株式投信(除ETF)の純資金流入額が七千数百億円と、8月のペースより落ちているものの今年春ごろと同水準だったことから、「コンスタントに資金純流入が続いている。環境の変動はしっかり見ていきたいが、今のところ大きなインパクトは見えにくいのではないかと思っている」と述べました。

 

8月27日に金融庁が改定した業界向け想定問答集(金融商品取引業等に関するQ&A)で、

日本株を対象とする個別株レバレッジ型ETFについて「公益上適当でない」と明記されたことについて会長は、「いろいろな考え方はあると思うが、私たちとしては基本的に金融庁の見解と同じ立場だ」と述べました。同月31日の同庁税制改正要望で、業界の要望通り非課税限度額の当年中復活が盛り込まれたことに関しては「いろいろなコストや準備はあるが、そういう取り組みができていけばいいかなと思っている」としました。

 

 

海外年金資金の取り込みにのびしろ

ラップ業務の契約資産額(最新統計の6月末時点)は30兆3706億円(前期比3兆3461億円増)と、こちらも過去最高額を更新。不動産関連特定投資運用業の契約額は31兆4502億円(同1兆3502億円増)だった。

 

協会幹部は「メガバンクと地銀、信金などで金利の差がつきつつあるところ、ラップ業務によって顧客をつなぎ止めるというような動きも見られるようになってきている。大手アセマネ会社と地銀グループがラップ業務でタッグを組む動きもあり、業態内を含めて合従連衡に影響が出てくるのではないかと思う」と説明。「ラップ業務が不動産私募ファンドを抜く時代は、1年前では想像していなかったが、両者は接近してきていて、近い将来には逆転もあり得る」と話しました。

 

投資一任業等会員の契約資産は806兆4108億円で、前期比66兆9206億円増でした。増減の顧客別内訳は、国内顧客47兆9826億円増(+7.9%)、海外顧客14兆2219億円増(+19.2%)。海外年金は3941億円増(+13.4%)となりました。

 

協会幹部は「成長資金を海外から国内市場に取り込む動きが強まってきていると言えなくもない」と説明します。一方、契約額が時価で押し上げられているとの認識を示し、「海外年金に関しては、伸びの鈍さが変わっていない」と課題を指摘。その上で、「例えばカルパース(米カリフォルニア州公務員退職年金基金)など大きな年金から安定して10年、20年にわたり運用を任せてもらえる資金が今後も入ってくることが望ましいと考えている。そのために国内の運用会社がどういう打ち出しをしていくか、日本の資本市場がどういった魅力を作っていくか、会長が海外に行く際などアピールしていくなど、活動を進めていく」と語りました。

 

 

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著者情報

川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
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