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「テクノロジー×教育×アクセス向上」でプライベートアセットの民主化を――iCapitalが描くオルタナ市場拡大への道筋

finasee Pro 編集部
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2026.03.31
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「テクノロジー×教育×アクセス向上」でプライベートアセットの民主化を――iCapitalが描くオルタナ市場拡大への道筋

政策的な後押しを背景に業界内外で注目が高まるオルタナティブ投資。今後、その一角を占めるプライベートアセット商品は日本の投資家にどれくらい浸透していくのか――。iCapitalジャパン株式会社の出川昌人会長(元ブラックロック日本法人社長)と、iCapitalでヘッド・オブ・ジャパンを務めるマネジングディレクターのティム・リー氏に、国内外におけるオルタナティブ投資の現状と課題、そして同社がグローバルに展開するプラットフォーム事業について話を聞きました。

 

――国内外のオルタナティブ市場の現状をどのようにご覧になっていますか。

出川氏:ひと昔前までプライベートアセットは、業界内で、もっぱらプロ投資家向けの商品という位置づけでした。チケットサイズ(最低投資金額)が数十億円規模と、個人にはとても手を出しにくい水準にあったことがその理由の一つです。過去にプライベートアセットを取引してきたプロ投資家の間で成功体験が積み上がって来たことで、アドバイザーの立場にある人々から、より幅広い顧客に対して投資機会を提供できないかという声が徐々に大きくなっていった経緯があります。

リー氏:グローバルに活動する名のある銀行は、例えば顧客資産の20%以上をオルタナティブに割り当てるといった目標を掲げていますが、実際には平均10%に満たない状況が続いています。トッププレイヤーたちですら、プライベートアセットを組み入れた理想のポートフォリオに辿り着くには、まだ長い道のりの途上にあるのです。

日本の家計や企業には膨大なキャッシュが眠っており、アドバイザーや銀行は、クライアントに対して長期的に優れたリターンを提供したいと考えています。そんな現在の日本は、アイキャピタルが事業をスタートした際の米国と非常によく似ています。

 

ティム・リー氏

 

――日本でオルタナティブ投資の裾野を拡大させる上では、どのような課題があると考えていますか。

出川氏:相当数の富裕層が存在する米国に比べ、日本はいわゆるマスアフルエント層(準富裕層)のボリュームが大きいことを念頭に置く必要があるでしょう。資産が20億円に上るケースと 2,000万円のケースでは当然、プライベートアセットの活用のあるべき形も異なるからです。

いわゆる「一本釣り」で特定の商品を勧めるのではなく、モデルポートフォリオによる分散投資の中でプライベートアセットを組み込むのが理想だと考えています。オルタナティブ投資の「民主化」の動きをこの国で本格化させるためには、最低投資金額の引き下げによる小口化が不可欠です。

 

――iCapitalが国内外で展開している事業について、改めて教えてください。

リー氏:私たちはオルタナティブ投資市場において、多くの個人富裕層や機関投資家が従来アクセス困難だったプライベートアセットに投資できるプラットフォームを提供しています。小口化によるアクセスの拡大、テクノロジーによる業務効率化、そして教育の推進を3本柱として、現在では世界で約40兆円の資産を管理しています。

特にアクセスのしやすさは、「民主化」の根幹です。取り組みの一環として、私たちはたとえば最低投資金額を300万ドルから10万ドル、あるいは5万ドルといった水準まで細分化、小口化し、(大元となるマスターファンドへ間接的に投資できる)フィーダーファンドの形で注文を出す仕組みを作り上げ、個人を含む世界中の投資家に提供しています。

 

出川氏:我々は「フィンテック」企業として、「フィン」の部分でファンド組成を支援するだけでなく、「テック」の部分でデジタル化による効率的・正確・迅速なプラットフォームを構築しています。たとえば、これまで手書きが中心だったプライベートアセットの申込手続について、マネーロンダリング対策やKYC(本人確認)を含めて実効性を担保しつつ出来るだけ効率化し、2回目以降の自動入力、電子署名、運用会社への情報伝達のデジタル移行などを推進してきました。

加えて、プライベートアセット市場を拡大させるには、投資家側の十分なリテラシー確保が極めて重要です。伝統的資産とは異なり、注文後必ずしもすぐに手に入るわけではなく、解約の際の流動性にも制約があることを理解してもらうため、投資家向けの教材の作成など教育推進にも積極的に取り組んでいます。

 

――足元、事業の状況はどうですか。

出川氏:今年で設立13年目ながら時価総額1兆円を超え、いわゆるユニコーン企業として認知されています。現在は東京の他、シドニー、アブダビなどを含め世界に十数拠点を構えています。プラットフォームに乗っている資産残高(AUM、ファンドの購入総額)は足元で2,890億ドル、日本円で約40兆円規模に達しています。日本オフィスは2021年にほぼ私(日本代表)1人でスタートし、現在は6名体制で精力的に業務に当たっています。

 

――金融機関やIFAを含め、日本国内でオルタナティブ商品を取り扱っている、あるいは取り扱いを検討している読者の方々に向けてメッセージをお願いします。

リー氏:洋の東西を問わず、顧客側のリテラシーが十分でない場合、アドバイザーはともすると商品の設計を過度に単純化して説明してしまいがちです。たとえばエバーグリーンファンドに関しては、「急にお金が必要になっても、明日必ず現金が手に入るというわけではない」という大前提や、流動性を犠牲にすることでプレミアムが付くということまでを丁寧に伝える誠実さこそが大切です。

 

出川氏:そもそもプライベートアセットは、ポートフォリオの内側に置いて初めて輝きを放つ存在だと思っています。単に「このファンドは良いですよ」と期待を抱かせるだけではなく、分散投資の意義、適切なリスク管理の在り方を含めて一つ一つ理解を後押ししていくことが、将来的なオルタナティブ市場全体の拡大につながるはずです。

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