コモンズ30ファンドの2024年7月の運用レポート、「今月のピック!」のコーナーでもご紹介した通り、鹿児島県志布志市と大崎町を訪問する機会を得ました。
こちらでご紹介した、ユニ・チャームと一緒に取り組んでいる紙おむつのリサイクルは、もちろん注目に値するものですが、大崎町の取り組みというのはそれだけではありません。ごみの分別ルールが、なんと28品目にも細かく分けられていて、可能な限りのリサイクルを行っているということで、政府や他の自治体などから非常に注目されているのです。
今回の訪問では、一般社団法人大崎町SDGs推進協議会の方に、同町の一般ごみの埋め立て処分場(曽於南部清掃センター)を案内してもらいながらお話を伺う機会もありましたので、その内容もご紹介しながら、リサイクルの今後について考えていきたいと思います。
大崎町は人口1万人ほどの小さな町で、隣接する志布志市の人口も約3万人という規模感です。この埋め立て処分場は1990年から利用を開始しているのですが、その背景には「焼却施設がない」という事情がありました。町の規模に比して焼却場施設のコストが高すぎることから、焼却施設を持ちたくても持てなかったということです。
そのため、リサイクルできないものはすべて埋め立てる、という運用を開始したのですが、当初の計画では83千㎡の広さがあるこの処分場も2004年までの15年間でいっぱいになる予定だった、ということで、問題の根本的な解決にはつながらないことは明らかでした。
そこで、大崎町は埋め立てる一般ごみを減らすため、1998年に缶、ビン、ペットボトルの分別回収を開始したのを皮切りに、2004年には有機物の埋め立てを禁止し、生ごみを分別回収するなどの取り組みを進め、現在では28品目の分別に至っています。
尚、リンク(下記参照)では27品目となっていますが、その後、専用の回収ボックスによる紙おむつの分別回収が開始されたため、現在では28品目に増えています。ただ、これは行政がいくら音頭をとっても、実際に分別が実行されなければ意味はありません。
この間、住民の方の理解を得るために数多くの対話を積み重ねたとのことで、行政側の苦労も大きかったと思いますし、これだけの品目の分別を住民の方がしっかりと日常的に実行されているのも素晴らしいと思います。
そのようにして、可能な限り埋め立てるごみを減らしていこうという取り組みを進めていった結果として、当初の計画ではすでにいっぱいになっているはずだった処分場がいまもごみの受け入れを行っている様子を確認できたことはとても感慨深いものでしたが、そんな中でも大きな課題として残されていたのが紙おむつでした。
紙おむつのリサイクルの取り組みを始める以前は、埋め立てるごみの2~3割が紙おむつだった、ということで、ここを何とかリサイクルに繋げたい、という想いからユニ・チャームに相談をしたのが、この紙おむつリサイクルの取り組みのきっかけだったのだそうです。
では、現在、埋め立てを行っているものの中で、次に課題として大きいものは何でしょうか、と尋ねたところ、いくつか回答があった中で、特に印象に残っているのが、「自転車」と「靴」です。
リサイクルをするためには素材ごとに分解することが最初のハードルになるのですが、いずれも構造が複雑で使っている素材の種類が多く、分解が非常に難しい、という共通の特徴があるように思います。
しかし、だからこそ、これらの品目のリサイクルを実現することには価値があるはずですので、そうした取り組みにはより高い感度で注目していきたいと考えています。
鹿児島県曽於郡大崎町のごみの分別ルールはこちら
https://www.town.kagoshima-osaki.lg.jp/kn_eisei/kurashi/gomi/bunbetsu/documents/gomibunbetsu.pdf