先週末の8月2日、日経平均株価は急落し、前日より2216円安い3万5909円70銭で取引を終えました。騰落率はマイナス5.81%でした。
今回の急落局面で、改めて学ぶべき点があるように思います。リーマンショックやITバブル崩壊などは、いずれも米国の政策金利引き下げに伴って起きています。日本においては、日銀が政策金利を0.25%程度に引き上げる追加の利上げを決定したことに加え、米FRBの9月利下げが取り沙汰されて為替が円高に反応したことが、日経平均の下げにつながりました。リーマンショック以降、カネ余りを背景に資産が膨らみました。これを「火薬庫」に例えれば、円安から急速な円高は「導火線」といえるのではないでしょうか。
私は今から37年前、1987年10月19日月曜日にニューヨークで起きた、いわゆる「ブラックマンデー」の翌日を思い出しました。当時、投資顧問会社で日本株式のファンドマネジャーをしていましたが、オフィスの株価ボードはいつまで経っても値がつきません。上がれば赤色、下がれば緑色になるボードは、灰色のままでした。ただただ、茫然とボードを眺め続けるだけの一日を送りました。当時の記録をさかのぼると、日経平均は3836円下がり、下落率は何と14.9%でした。
誰しも将来の市場環境は見通しきれないはずですが、過去の経験則に照らし合わせれば、いたずらに値下がり幅だけを見て右往左往するのでなく、値下がり率に注目することも必要ではないでしょうか。
ブラックマンデーで今でも鮮明に覚えていることがあります。それは、どんなにこちらから運用を勧めても全く関心を示さなかった法人のお客さまが、ブラックマンデー後に運用を始めたいとの意思を示し、実際に運用を開始されたことでした。お客さまは運用に関心がなかったのではなく、開始時期を「株価が下がったタイミングで」と見定めていたのです。相場格言にも「人の行く裏に道あり花の山」とありますし、過度な楽観も悲観も禁物です。