金価格上昇のプラス要因とマイナス要因とは
金価格は新型コロナウイルス発生前の1オンスあたり1,600ドル以下から大きく上昇し、一時期2,000ドルを超え、2023年10月末現在は1,900ドル台後半で推移している。円ベースで見た場合、2020年初めに1グラムあたり5,500円(消費税抜き)だった金価格は、2021年6月には6,700円、2022年6月には8,000円、現在は9,500円前後まで上昇している。この価格上昇を牽引したのは投資需要であり、増幅した投資環境の不確実性が主な背景となっている。
ここ数年、金市場はプラスに働く要因とマイナスに働く要因が激しく綱引きし、価格が切り上がる展開を見せた(下記の図表1参照)。主たるプラス要因として、マクロ政治・経済環境の不確実性、インフレの上昇および堅調な金需要、マイナス要因として、金利上昇およびドル高を挙げることができる。