穂香を責めたことを悔やむ雄一
夕方近くになって、今度は雄一が寝室を訪ねてきた。
「少しは具合よくなったか?」
「うん。今朝よりはラクになったよ」
雄一は飲み物を枕元に置き、ベッドのそばに腰を下ろした。
「忙しいのにごめんね。私が休んでるせいで、仕事が増えちゃったでしょ」
「そんなこと気にしなくていいよ。それより、俺のほうこそ悪かった」
穂香が顔を上げると、雄一は申し訳なさそうに続けた。
「最近ずっと疲れてただろ。気づいてたのに、ちゃんと話を聞かなかった。請求書の件も、責めるばっかりでさ」
「でも、ミスしたのは私だから……」
「それはそうだけど、必要以上に追い詰めたのは事実だよ。俺も急に酒蔵を継いで、余裕がなくなってたんだと思う。ごめんな」
その言葉を聞き、穂香も少しずつ本音を話し始めた。
「私も早く一人前になりたくて、無理してたと思う。失望されたくなくて、できないとか、わからないとか、仕事を減らしてほしいって頼むのが嫌だったの」
「これからは遠慮せず相談してくれよ。俺も仕事の割り振りを見直すから」
「うん。ありがとう。これからはちゃんと相談するね」
雄一は穂香の手を軽く握り、もう少し休むよう伝えて仕事へ戻っていった。
久しぶりに夫と落ち着いて話せたことで、気持ちは少し軽くなったらしい。布団を胸まで引き上げ、目を閉じると、穂香は自然と深い眠りに落ちていった。
