お金の呪縛から解放され、つかんだ幸福

路線変更。恋人を探す。2カ月で1000人近くとマッチし、数学科卒の銀行員と出会う。

その3カ月後には仕事を辞め、同居を開始。9カ月後には結婚した。

彼はインフレが進むと貯金をしても資産価値が減っていく仕組みなどを教えてくれた。私は100万円を当面の生活費として残し、ほかは全てNISAの長期投資に充てていくことにした。

「これで貯金の責務を果たしたんだ」と思えると、長年ずっと私を責め続けていた際限のない強迫観念がすっと消えていった。

「もう、これ以上、自分を追い詰めて貯め込まなくても大丈夫なんだ」

そう思えると、これまで必死に削りに削って作ってきた貯金も決して無意味ではなかった気がして、とてもうれしかった。

今は100万円の生活費の維持をアルバイトでまかなっている。二人暮らしで半分になった家賃は3万円台。結婚前の数倍の生活費を使っても月2万〜4万円、合計の生活費は月5万〜7万円といったところだ。アルバイトを掛け持ちすれば、もし突発的な事情で一方を辞めることになっても、カバーできる金額だ。

それどころか、生活費の100 万円を越えて貯まったお金で年に1度、夫と10日間程度の海外旅行に出掛けたりするようになった。浪人時代から10年以上抱え続けてきた家族の介護からも距離を置けるようになったため、空いた時間を作家活動に回す。

作家活動といっても、それはそれで時給10円どころか、マイナスかもしれない。けれど「もう必死にお金を稼ぐ必要はなくなったんだもの。やりたいことは、やれるうちにやっておこう」

そう気持ちが切り替わり、未来に希望が持てた。

今でも妙な強迫観念に襲われる時がある。けれど俯瞰してみたら、「今、結構いい人生、送ってるかも」と肯定できるようになってきた。それだけでもこの数年で、ずい分、変わったなと実感している。