事例で考えるDCの活用方法(Aさん、Bさん)

60歳以上のDC活用について、例を挙げて考えてみましょう。

Aさん(61歳 女性)
・フリーランス(業務委託契約)で働いている
・60歳時に30年間勤務した企業を退職
・60歳で退職一時金を受給
・退職した企業で企業型DCの加入者(現在は運用指図者)

Aさんは現在は厚生年金被保険者ではなく、国民年金の任意加入被保険者でもないため、iDeCoの加入者にはなれません。ただし、2026年12月以降は制度改正により企業型DCの資産を移換することでiDeCoの加入者になることができます(掛金は月額6.2万円まで拠出可能)。

(DC活用のポイント)
Aさんは、64歳で特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)が受け取れます。フリーランスで働いているため、厚生年金の被保険者ではありません。そのため、フリーランスの収入が多額であっても、在職老齢年金の仕組みが適用されず、報酬比例部分を減額されずに受け取ることができます。老齢基礎年金を受給していなければ、iDeCoの加入者にもなれます。

(DC受け取りのポイント)
60歳の時に受け取った退職一時金で退職所得控除を使っていますが、iDeCoの加入者になることで退職所得控除の年数を増やせます。DCの資産額によっては、受け取りを全額一時金にするのか、年金と組み合わせるのかを検討するとよいでしょう。

Bさん(60歳 男性)
〔Bさんがお勤めのb企業の特徴〕
 ・定年年齢:65歳(定年年齢を引き上げた企業)
 ・確定給付企業年金(DB)制度:あり
 ・企業型DCの資格喪失年齢:65歳
 ・企業型DCの加入者掛金(マッチング)拠出:あり

BさんはDBの資産を60歳で受け取らず、65歳の定年退職時に受給する予定です。現在は企業型DCの加入者でマッチング拠出もしているため、個人型DC(iDeCo)には加入できません。

将来65歳で企業を退職する際には、下記のような選択肢が考えられます。

〈DC活用のポイント〉
65歳時にDBの資産をiDeCoに移して、iDeCoの加入者になる選択も可能です(iDeCoの加入可能年齢が2026年12月以降は70歳未満となるため)。

(DC受け取りのポイント)
企業型DCの資産を一時金で受給して退職所得控除を活用し、老齢厚生年金とあわせて当面の生活費とすることが可能です。老齢基礎年金は繰り下げ受給にすると、iDeCo加入者を継続できます。公的年金の繰り下げはひと月あたり0.7%受給額が増えるため、1年間繰り下げると8.4%、5年間では42%、10年間で84%も老齢基礎年金が増えることになります。なお、繰り下げは老齢基礎年金と老齢厚生年金とで分けて行うことができます。