長男誕生で義実家が豹変
大翔が男の子だとわかった途端、義実家の態度は一変した。出産直後、義母から「よくでかしたわね!」と弾んだ声で電話があり、数日後には現金30万円が包まれた分厚いご祝儀袋が送られてきたのだ。結愛の時にはお祝いの言葉すらなかっというのに。
さらに、これまで寄り付かなかった義両親が、ことあるごとに家を訪れ、大翔に高価なおもちゃや洋服を買い与えるようになった。
「さすが俺の跡取りだ!」
そういって健太は大翔の一挙手一投足を大喜びし、結愛の時とは打って変わって、大翔の世話を率先して焼くようになった。
◇
ある年のシルバーウィークの帰省時、その露骨な差はさらに残酷な形で表面化した。
義母から渡されたおこづかいの封筒。小学生になった7歳の大翔の袋には1万円札が入っていたのに対し、10歳の結愛の袋に入っていたのは、千円札3枚だったのだ。さらに、夕食の席でも、大翔の前には豪華な刺身の盛り合わせが用意されているのに、結愛の席には子ども向けだと称して安いウインナーと卵焼きしか置かれていなかった。
「おばあちゃん……なんで大翔くんにしか大きなおもちゃを買ってくれないの? なんでお札の種類が違うの?」
結愛が悲しそうにこぼした言葉に、美咲の胸は締め付けられた。しかし健太は「男なんだから、多くもらうのは当たり前だろ」と笑って済ませたのだ。
幼い娘の心を無惨に踏みにじる、義実家の歪んだ価値観。耐えきれなくなった美咲の怒りは、ついに頂点に達することになる。
●あからさまに息子だけかわいがる義実家。「なんで弟だけ?」と泣く結愛に対し、健太は「男だから当たり前」と意に介さない。娘を傷つける夫と義実家の態度に、美咲は激しい怒りを募らせていく…… 後編【「跡取りなんだから当たり前でしょ」娘を泣かせる義母へ反撃…男尊女卑の義実家で起きた“予想外の結末”】で詳説します。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
