<前編のあらすじ>

美咲の夫・健太の地元は、男尊女卑が根強く残る地域だった。長女・結愛が生まれた際、義実家はお祝いを一切くれず、「女の子だから」と露骨に距離を置かれた。

しかし3年後、長男・大翔が誕生すると義実家は手のひらを返し、30万円の出産祝いを送りつけてきた。帰省でも、長男には1万円、長女には3,000円のおこづかいを渡すなど、あからさまな差をつける。

「なんで弟だけ?」と泣く結愛に対し、健太は「男だから当たり前」と意に介さない。娘を傷つける夫と義実家の態度に、美咲は激しい怒りを募らせていく。

●前編【「俺は座って飲むのが仕事だから」帰省先で働き詰めの妻…第一子を祝福しない義実家の“歪んだ常識”】

限界を迎えた妻の怒り

「なんで結愛が怒られなきゃいけないんですか!」

美咲の声が、静まり返った正月の居間に響いた。

事の発端は、結愛がお小遣いを貯めて買った大切なビーズのネックレスを、2歳の大翔が無理やり引っ張って壊してしまったことだった。結愛が「やめて!」と泣き出したにもかかわらず、義母は「お姉ちゃんなんだから、跡取りの弟にそれくらい譲ってあげなさい。女の子なんだから我慢するのが当たり前でしょ」と、結愛を叱りつけたのだ。

「跡取りだとか、男だからとか、そんなのおかしいです! 結愛が普段からどれだけ傷ついているか……」

美咲は結愛を抱き寄せ、荷物をまとめ始めた。

「もう帰ります。結愛がかわいそうで耐えられません……」

「おい、親父やお袋に向かってなんだその態度は!」

健太はそういって慌てて立ち上がったが、美咲は冷ややかな目で夫を睨みつけた。

そのときだった。

「あ、痛っ……!」

突然、義母が胸を押さえてその場にうずくまったのだ。顔面は蒼白になり、苦しそうに呼吸を荒げている。